静岡県の漁師求人ガイド|焼津・伊豆・浜名湖のエリア別漁種と支援制度

静岡県の漁師求人ガイド|焼津・伊豆・浜名湖のエリア別漁種と支援制度 水産キャリア

最終更新: 2026-07-10

焼津漁港の2025年の水揚金額は約469億円で全国1位。水揚数量でも約11万7千トンで全国4位という、静岡県は日本屈指の水産県です(焼津市水揚統計、2025年時点)。農林水産省の漁業産出額統計でも、静岡県の海面漁業・養殖業産出額は548億円にのぼり、そのうちまぐろ類が176億円、かつお類が161億円と、この2魚種だけで全体の6割を占めます(e-Stat 統計表ID: 0001886486、2018年時点)。

「静岡で漁師になりたいけれど、焼津の遠洋漁業と伊豆の沿岸漁業では働き方がどう違うのか」「未経験でも応募できる求人はどこで探せばいいのか」と迷っている方も多いのではないでしょうか。静岡は遠洋・沿岸・養殖という漁業の3つの働き方がすべて揃った珍しい県で、選択肢が多いぶん、自分に合うエリアと漁種を見極めることが転職成功の鍵になります。

この記事では、静岡県の漁師求人の探し方、エリア別の漁種と働き方の違い、未経験者向けの研修・支援制度、年収のリアルまでを網羅的に解説します。まず静岡が就業先として注目される理由を確認し、次に4つのエリアの特色、求人の具体的な探し方、支援制度の順にお伝えします。

静岡県が漁師の就業先として注目される3つの理由

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静岡県が漁業就業希望者にとって有力な選択肢となる理由は、大きく3つあります。

1つ目は水揚げ規模の大きさです。前述のとおり焼津漁港は2025年の水揚金額で全国1位となっており、カツオ・マグロを中心とする遠洋漁業の一大基地です。静岡県はきはだまぐろの漁獲量でも日本一を誇ります(静岡県公式サイト)。水揚げが多い港には漁船も仕事も集まるため、乗組員の求人が安定して発生します。

2つ目は漁業の多様性です。駿河湾は日本で唯一桜えびが水揚げされる海であり、伊豆の下田港はキンメダイの水揚げ日本一、浜名湖はうなぎ養殖発祥の地として知られています。遠洋マグロ船の乗組員から、日帰り操業の沿岸漁師、陸上中心の養殖業まで、ライフスタイルに合わせて働き方を選べる点は、北海道や東北の漁業地帯とは異なる静岡の特徴です。

3つ目は首都圏・中京圏からのアクセスの良さです。静岡は新幹線で東京から約1時間、名古屋から約1時間の距離にあり、都市部から移住しやすい立地です。「いきなり遠隔地に移住するのは不安」という転職希望者にとって、家族や友人との関係を保ちながら漁業に挑戦できる環境は大きな安心材料になります。

比較項目 静岡県 備考
海面漁業・養殖業産出額 548億円 e-Stat 統計表ID: 0001886486(2018年時点)
焼津漁港の水揚金額 約469億円(全国1位) 焼津市水揚統計(2025年時点)
主力魚種 まぐろ類176億円・かつお類161億円 産出額の約6割を占める
特産漁業 桜えび(駿河湾のみ)・キンメダイ(下田港が日本一)・しらす しらす産出額59億円(2018年時点)
都市部からのアクセス 東京・名古屋から新幹線で約1時間 移住ハードルが低い

エリア別 静岡県の漁業の特色と求人傾向

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静岡県の海岸線は駿河湾から遠州灘、伊豆半島まで変化に富み、エリアごとに漁業の性格がまったく異なります。求人を探す前に「どのエリアで、どの漁法で働くか」のイメージを固めておきましょう。

焼津・清水エリア(遠洋カツオ・マグロ漁業の基地)

焼津漁港はカツオ・マグロを主とする遠洋漁業の基地で、隣接する小川港はサバ・イワシ・アジなど多獲性魚の沿岸・沖合漁業の拠点です。遠洋カツオ一本釣り船や海外まき網船、遠洋マグロはえ縄船の乗組員求人が中心で、1回の航海が数十日から1年近くに及ぶ代わりに、給与水準は漁業の中でも高い部類に入ります。清水港も冷凍マグロの水揚げで知られ、周辺には水産加工や流通の仕事も豊富です。

由比・大井川エリア(桜えび・しらす漁)

由比漁港と大井川港は、日本で唯一桜えびの漁獲が行われる港です。桜えび漁は春漁と秋漁の年2回で、2025年秋漁では初日に約2.3トンが水揚げされました(静岡市発表、2025年時点)。資源保護のため船団ごとの共同操業・プール制(水揚げ金額を船団で分配する仕組み)が採用されており、地域ぐるみで資源を管理する漁業を経験できます。しらす船曳網漁も盛んで、日帰り操業が基本のため、遠洋漁業に比べて家族との時間を確保しやすい働き方です。

伊豆エリア(下田・稲取・戸田のキンメダイ・沿岸漁業)

伊豆半島の下田港はキンメダイの水揚げ日本一で、年間1,000トン超が水揚げされ、下田港の水揚げの約8割をキンメダイが占めます(伊豆漁業協同組合、2025年時点)。たてなわ釣り(縦に延びる幹縄に多数の釣り針を付けた漁法)による日帰り操業が中心で、小規模な船で独立を目指しやすいエリアです。戸田では駿河湾の深海を活かしたタカアシガニなどの深海魚漁も行われており、観光需要と結びついた漁業ができるのも伊豆の魅力です。

浜名湖・遠州灘エリア(養殖・内水面漁業)

浜松市の浜名湖は100年以上の歴史を持つうなぎ養殖発祥の地で、現在もうなぎ、カキ、海苔の養殖が行われています(浜松市公式サイト)。養殖業は船上作業と陸上作業の組み合わせで、天候による休漁が比較的少なく、毎日自宅から通える点が遠洋・沿岸漁業との大きな違いです。遠州灘側ではシラス漁が盛んで、漁期に合わせた季節性の強い働き方になります。

エリア 主要魚種 漁業の特徴 求人・働き方の傾向
焼津・清水 カツオ、マグロ、サバ 遠洋・沖合漁業の基地 乗組員求人が多く給与水準は高め。長期航海あり
由比・大井川 桜えび、しらす 日本唯一の桜えび漁。プール制 日帰り操業中心。地域密着で家庭と両立しやすい
伊豆(下田・稲取・戸田) キンメダイ、深海魚 たてなわ釣り等の沿岸漁業 小規模経営が多く独立向き。観光との連携も
浜名湖・遠州灘 うなぎ、カキ、海苔、シラス 養殖・内水面漁業 陸上作業が多く毎日帰宅可能。未経験者が入りやすい

静岡県の漁師求人を探す5つの方法

静岡で漁師の求人を見つけるには、一般的な求人サイトと水産業界特化の窓口を併用するのが効率的です。

方法1: 漁師.jp(全国漁業就業者確保育成センター)

漁師になりたい人と漁業者をマッチングする公的機関のサイトで、静岡県の地域ページには県内の漁業の特色や求人情報がまとまっています。未経験者を前提とした募集が多く、最初にチェックすべき窓口です。

方法2: 漁業就業支援フェア

全国漁業就業者確保育成センターが主催する対面相談会で、毎年東京・大阪・福岡などで開催されています。静岡県内の漁協や漁業会社もブースを出すことがあり、現役漁師から直接、仕事内容や生活のリアルを聞ける貴重な機会です。参加は無料で、漁業経験や年齢を問わず誰でも参加できます。

方法3: 静岡県・市町の水産窓口

静岡県は経済産業部に水産・海洋部局を置き、新規就業者向けの相談に対応しています。焼津市・下田市・浜松市など漁業が盛んな市町には独自の担い手支援策があるため、移住を検討するエリアの自治体窓口にも問い合わせておくと、住宅支援などの情報も合わせて得られます。

方法4: 一般求人サイト(求人ボックス・Indeed・ハローワーク)

求人ボックスでは静岡県の「漁師 未経験歓迎」の求人が76件掲載されています(2026年7月時点)。日給1万円以上の日給保証付きの求人や、入社後の免許取得を支援する会社もあります。ハローワークにも漁業会社や定置網の求人が出るため、「漁業」「乗組員」「養殖」といったキーワードで定期的に検索しましょう。

方法5: 漁協・水産会社への直接アプローチ

焼津や由比、伊豆の漁協、浜名湖の養殖業者には、求人サイトに出ない募集も存在します。漁港の直売所やイベントで働く人と接点を作り、直接問い合わせる方法は遠回りに見えて確実です。実際に現地を訪れて漁港の雰囲気を確かめることは、入ってからのミスマッチを防ぐ最も効果的な手段でもあります。

未経験から静岡で漁師になるステップと支援制度

未経験から漁師への転職は、いきなり就職するのではなく、体験と研修を段階的に踏むのが成功の近道です。

ステップ1は情報収集と漁業体験です。漁師.jpや支援フェアで情報を集め、短期の漁業体験プログラムに参加して、船上作業や早朝の生活リズムが自分に合うかを確かめます。

ステップ2は長期研修です。国の漁業人材確保対策では、漁業現場での長期研修中に給付金を受けられる制度が用意されており、独立・自営を目指す研修では最大で月15万円程度が支給されます(水産庁の事業。年度により内容・金額が変わるため最新の公募要領を確認してください)。研修先の漁師のもとで実践的に技術を学びながら、生活費の心配を減らせる仕組みです。

ステップ3は就業形態の選択です。焼津の遠洋漁船の乗組員として雇用されるか、伊豆で沿岸漁師として独立を目指すか、浜名湖の養殖業者に就職するかで、必要な準備が変わります。雇用型なら必要な資格は入社後に取得支援を受けられる場合が多く、独立型なら漁協への加入と漁業権の調整が必要になります。

支援制度 内容 問い合わせ先
漁業就業支援フェア 漁業への就職相談会。毎年複数都市で開催 全国漁業就業者確保育成センター(漁師.jp)
長期研修支援 漁業現場での研修中に給付金(独立型は最大月15万円程度) 水産庁・都道府県の担い手窓口
免許・資格取得支援 海技士・小型船舶操縦士などの取得費用を助成 研修事業・各漁業会社
市町の移住支援 住宅補助・移住支援金など自治体独自の制度 焼津市・下田市・浜松市などの各窓口

なお、支援制度の多くは「漁業に就業する意思」が要件となるため、体験段階から窓口に相談し、自分が使える制度を早めに整理しておくことをおすすめします。

静岡の漁師の年収と働き方のリアル

漁師全体の平均年収は約385万円とされますが(水産庁「水産業の就業者をめぐる動向」、2020年時点)、静岡県内でも就業形態によって収入構造は大きく異なります。

遠洋カツオ・マグロ船の乗組員は、基本給に加えて水揚げに応じた歩合給が支払われるのが一般的で、経験を積めば漁業の中でも高水準の収入が期待できます。そのぶん数カ月単位で家を空ける生活になるため、体力と家族の理解が欠かせません。

沿岸漁業のキンメダイ漁や桜えび漁は、資源状況と相場に収入が左右されます。特に桜えび漁はプール制のため、個人の腕よりも船団全体の水揚げと資源管理の状況が収入を決めます。近年は不漁年もあり、複数の漁を組み合わせて年間の収入を安定させる漁師が多いのが実情です。

編集部が漁業関係者への取材を重ねる中で印象的だったのは、「静岡は選べるのが強み」という声です。遠洋で数年稼いで資金を作り、その後沿岸漁業や養殖に移る人、逆に養殖で経験を積んでから沿岸漁師として独立する人など、県内でキャリアを組み替えられることが、単一の漁業に依存する地域にはない静岡の強みだといいます。最初の就業先を選ぶ際も、「この漁種がだめなら県内で次がある」と考えられるのは精神的な余裕につながります。

収入面の詳しい相場観は、漁師の年収を徹底解説した記事も参考にしてください。

静岡県の漁師求人に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 未経験・無資格でも静岡で漁師になれますか?

なれます。求人ボックスでは静岡県の未経験歓迎の漁師求人が76件掲載されており(2026年7月時点)、雇用型の求人の多くは資格不要で応募できます。小型船舶操縦士や海技士などの資格は、入社後に会社の支援を受けて取得するケースが一般的です。まずは漁業体験や支援フェアで現場を知ることから始めましょう。

Q2. 焼津の遠洋漁業と伊豆の沿岸漁業、未経験者にはどちらが向いていますか?

生活スタイルの希望で選ぶのが基本です。まとまった収入を優先し長期航海に耐えられるなら遠洋、家族との生活や地域への定着を重視するなら沿岸・養殖が向いています。遠洋は雇用型で給与が安定しやすい一方、沿岸は独立すれば裁量が大きい反面、資源変動のリスクを自分で負うことになります。

Q3. 桜えび漁師になることはできますか?

桜えび漁は日本で駿河湾(由比漁港・大井川港)だけで行われており、資源保護のため許可隻数が制限されています。新規参入の門戸は狭いですが、まずは由比・大井川エリアのしらす漁など別の漁業で地域に入り、信頼を積んでから機会を待つルートが現実的です。

Q4. 静岡県の漁師求人で寮や住み込みはありますか?

あります。遠洋漁業の乗組員は航海中の居住が船内のため住居費がほとんどかからず、沿岸漁業や養殖でも寮・住宅補助付きの求人が見られます。住み込みで働きながら貯蓄したい方は、[住み込み漁師求人の探し方の記事](https://suisan-navi.jp/fishery-career/fisherman-jobs-live-in-guide/)で注意点を確認してください。

Q5. 何歳まで転職できますか?

雇用型求人の多くは20〜40代を想定していますが、法律上の年齢制限があるわけではなく、体力と意欲次第で40代以降の採用例もあります。国の長期研修支援制度には年齢要件が設定されている場合があるため(近年は原則45歳未満などの区分あり)、制度を使う場合は最新の要件を必ず確認してください。

Q6. 求人に応募する前に現地を見ておくべきですか?

強くおすすめします。漁業は職場(船・漁港)と住む地域が一体化した仕事です。焼津・由比・下田・浜名湖はいずれも日帰りで見学しやすい立地なので、直売所や漁港を訪れて水揚げの様子を見たり、可能なら漁業体験に参加したりして、生活のイメージを具体化してから応募すると失敗が減ります。

関連記事: 兵庫県の漁師求人ガイド|明石・淡路・但馬のエリア別漁種と支援制度

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まとめ: 静岡は「働き方を選べる」全国有数の水産県

静岡県は、水揚金額全国1位の焼津漁港を擁する遠洋漁業の基地でありながら、日本唯一の桜えび漁、キンメダイ日本一の下田、うなぎ養殖発祥の浜名湖まで、多様な漁業が共存する全国でも珍しい県です。遠洋・沿岸・養殖のどの働き方も県内で選べるため、未経験からの転職先として選択肢の幅が広いことが最大の魅力です。

次のアクションとしては、まず漁師.jpの静岡県ページと求人サイトで現在の募集状況を確認し、漁業就業支援フェアや現地見学で情報を集めることから始めましょう。研修給付金などの支援制度を活用すれば、収入の不安を抑えながら段階的に漁師への道を進めます。

漁師への転職全般の進め方は漁師転職ガイドで、未経験者向け求人の見極め方は未経験からの漁師求人ガイドで詳しく解説しています。他地域と比較したい方は北海道の漁師求人ガイド、移住費用の支援を知りたい方は漁師の移住支援ガイドもあわせてご覧ください。漁業産出額など統計の詳しいデータは水産業界データまとめページにまとめています。

参考情報

  • 農林水産省「漁業産出額(大海区都道府県別統計表)」e-Stat 統計表ID: 0001886486(2018年)
  • 焼津市「水揚統計」(2025年の焼津漁港水揚金額・数量) https://www.city.yaizu.lg.jp/city-info/statistics/other/mizuage.html
  • 静岡県公式ホームページ「静岡県の水産業について」 https://www.pref.shizuoka.jp/sangyoshigoto/suisan/suisangyo/1040454/1027940.html
  • 静岡県公式ホームページ「きはだの漁獲量 日本一」 https://www.pref.shizuoka.jp/kensei/information/myshizuoka/1002255/1040934/1011252.html
  • 伊豆漁業協同組合「下田の金目鯛」 https://www.izugyo.com/kinmedai/
  • 静岡市プレスリリース「駿河湾にて桜えびの2025年秋漁が開始」(PR TIMES) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000145322.html
  • 浜松市「100年以上の歴史を持つうなぎ養殖発祥の地・浜松」 https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/miryoku/hakken/tokusan/unagi.html
  • 水産庁「新規漁業就業者や若手漁業者等の育成」 https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h30_h/trend/1/t1_2_2_2.html
  • 漁師.jp(全国漁業就業者確保育成センター)静岡県ページ https://ryoushi.jp/region/shizuoka/



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