カレイの旬はいつ?種類別の旬・産地・栄養・選び方を徹底解説

カレイの旬はいつ?種類別の旬・産地・栄養・選び方を徹底解説 未分類

カレイの旬はいつ?──種類で大きく変わる「旬」の常識

2026年9月、富山・新湊産の「万葉かれい」が出荷ゼロで今季終了したという報道が水産業界に衝撃を与えた(dメニューニュース 2026年9月5日)。原因は記録的な海水温の上昇。底引き網で漁獲されたマコガレイが、高水温の海面に引き上げられた瞬間に衰弱してしまい、出荷できる状態にならなかったという。

気候変動が漁業の現場を直撃した実例だが、これは同時に「カレイの旬」を改めて考えさせてくれる出来事でもある。

ひとくちに「カレイ」といっても、日本近海には40種以上が生息する。マコガレイ・ナメタガレイ・マガレイ・ヤナギムシガレイ……種類が違えば旬の時期も産地も味わいも別物だ。「カレイは冬が旬」という定説も、すべての種類に当てはまるわけではない。

この記事では農水省「漁業・養殖業生産統計」と文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をデータの根拠に、カレイの旬を種類別に正確に整理する。旬の魚を食卓に取り入れたい方から、水産業界を学びたい方まで、実際の漁業データに基づいた情報をお届けする。

「左ヒラメに右カレイ」──見分け方と基本生態

目の位置で9割わかる

魚屋やスーパーで「カレイとヒラメの違い」を聞かれたとき、現場でよく使われる見分け方が「左ヒラメに右カレイ」だ。目を上にして魚を正面から見たとき、目が左側に寄っているのがヒラメ、右側に寄っているのがカレイ——という判定法で、実際に流通する魚の9割以上に適用できる。

ただし例外もある。ヌマガレイ(淡水にも生息する特殊な種)は目が左に寄っており、この法則からはずれる。「すべてのカレイが右に目」ではなく、「多くのカレイが右に目」という理解が正確だ。

底魚としての生態

カレイ類は海底付近を生息域とする「底魚(底生魚)」の代表格だ。砂泥の海底に体を密着させ、両目を上に向けて獲物(小型甲殻類・多毛類・小魚)を待ち伏せる。体の上面(目がある側)は砂や泥に溶け込む保護色になっており、下面(目のない側)は白い。

この底生生活が、底引き網漁の主要ターゲットになる理由でもある。底引き網は海底付近をネットで引いて底魚を一網打尽にする漁法で、カレイ・ヒラメ・アイナメ・タコなどが同時に漁獲される。

底引き網漁の解禁時期と仕組みについては別記事で詳しく解説しているので参照してほしい。

種類別の旬カレンダー──カレイはひとつじゃない

カレイ類は種類によって旬の時期が大きく異なる。主な食用種の旬・産地・特徴を以下の表にまとめた。

種類 主な産地 味わいの特徴 おすすめ調理法
マコガレイ 東北・富山・新潟・島根 9〜2月(秋〜冬) 繊細な甘み・上品な白身 刺身・薄造り・煮つけ
ナメタガレイ 宮城・岩手 12〜2月(厳冬期) 濃厚な旨み・子持ちは絶品 煮つけ・焼き
マガレイ 北海道・東北 12〜3月(冬〜春) 肉厚で甘み強い 煮つけ・干物
イシガレイ 北海道・東北・山陰 10〜2月(冬) 弾力と濃厚な旨み 煮つけ・刺身
ヤナギムシガレイ 北海道・青森 5〜8月(夏) さっぱりした軽い甘み 天ぷら・唐揚げ
ソウハチガレイ 北海道 春〜秋 淡白で食べやすい 干物・唐揚げ
ムシガレイ 全国 秋〜冬 標準的なカレイの味 煮つけ・フライ

マコガレイ──カレイの最高峰、旬は9月から

マコガレイは国産カレイの中で最も高く評価される種類だ。透き通るような白身は繊細な甘みと上品な旨みがあり、熟練した料理人が刺身・薄造りとして提供することも珍しくない。

旬は9月から翌年2月で、中でも12〜1月が脂のりと旨みのピーク。産卵前に体力を蓄えた時期が最もおいしい。

富山・新湊(射水市)の「万葉かれい」は、そのマコガレイをブランド化したもの。万葉集ゆかりの地で古くから親しまれてきた高級魚だ。しかし2026年9月現在、海水温の高止まりにより今季の出荷がゼロとなった。底引き網で水揚げされたカレイが、海面(表層)の高水温で弱ってしまうという現象は、温暖化の影響として近年各地で報告されており、従来の「旬の常識」が揺らぎはじめている。

ナメタガレイ──東北の正月魚、厳冬期が旬

東北地方、とくに宮城・岩手でナメタガレイは特別な意味を持つ魚だ。正月料理の定番として煮つけにされ、卵巣(真子)が充実した「子持ちナメタ」は縁起物として珍重される。

旬は12〜2月の厳冬期。産卵に向けて栄養を蓄えた時期が最も味が濃く、身がふっくらしている。スーパーには「子持ちカレイ」として並ぶことが多く、東北以外の地域でも煮つけの定番として広く親しまれている。

ヤナギムシガレイ──夏に旬を迎える例外種

「カレイは冬」というイメージを覆すのがヤナギムシガレイだ。旬は5〜8月の夏で、他のカレイが旬を外れる時期にピークを迎える。

北海道・青森が主産地で、骨が細く柔らかいため小型のものは丸ごと揚げて骨まで食べられる。天ぷら・唐揚げにすることが多く、ヤナギと呼ばれる細長い体型から「ヤナギムシガレイ」の名がついた。干物にしても美味で、北海道の土産物としても人気がある。

農水省統計で見る──カレイ類の産地と漁獲動向

農水省「漁業・養殖業生産統計」によると、カレイ類は日本の底魚漁業における重要な漁獲対象だ。漁獲量の多い都道府県と主な漁法は以下のとおりとなっている。

都道府県 主な漁獲種 主な漁法 特徴
北海道 マガレイ・ソウハチ・スナガレイ 底引き網 最大の産地・大量漁獲
青森 マコガレイ・マガレイ・ムシガレイ 底引き網・刺し網 津軽海峡が主要漁場
宮城 ナメタガレイ・マコガレイ 底引き網・刺し網 三陸産ナメタが高評価
富山 マコガレイ(万葉かれい) 底引き網 ブランド品・高付加価値
島根 イシガレイ・マコガレイ 底引き網 日本海側の主要産地
長崎 カレイ類全般 底引き網 九州北部の重要漁獲

底引き網漁は水域によって禁漁期間が設けられており、東シナ海は5月21日〜9月20日、瀬戸内海・大阪湾は6月1日〜8月31日などが休漁期にあたる(水域・対象魚種によって異なる)。9月以降は多くの水域で解禁となり、秋のカレイ漁シーズンが本格的に始まる。

海水温上昇が底魚に与える影響

2026年の万葉かれい不漁が象徴するように、近年の海水温上昇は底魚漁業に深刻な影響を与えている。カレイは低水温を好む魚で、適水温は種類によって異なるが概ね10〜20℃程度。海水温が高止まりすると以下のような問題が起きる。

1. 分布域の変化:適水温を求めて深場や北方へ移動し、従来の漁場でとれなくなる

2. 水揚げ後の斃死:表層水温が高い時期に網揚げすると、水温差のショックで弱る

3. 産卵行動の変化:水温変化により産卵時期がずれ、旬の時期が変動する

これは単に「この年の不漁」という話ではなく、今後の日本の底魚漁業全体に関わる構造的な問題だ。水産業界の最新データでは、こうした漁獲統計の動向を継続的に追っている。

カレイの栄養価──ビタミンDの宝庫

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」のマコガレイ(生)のデータを見ると、カレイの栄養的な強みが明確になる。

マコガレイ(生)100g当たりの主要栄養素

栄養素 含有量 特記事項
エネルギー 95 kcal 低カロリー・高タンパクの理想的バランス
たんぱく質 19.6 g 成人男性1日推奨量の約35%
脂質 1.3 g 超低脂質──ダイエット・医療食向き
カルシウム 43 mg 縁側部分には特に豊富
**ビタミンD** **13 μg** 厚労省推奨量(15μg)の約87%を1食で
ビタミンB12 3.8 μg 推奨量(2.4μg)を大幅に超過
ビタミンB1 0.07 mg 疲労回復に関わる

ビタミンD 13μgは特に注目すべき数値だ。ビタミンDは骨密度の維持・免疫機能の調節・筋力低下予防に関わる脂溶性ビタミンで、食品から摂取が難しく日本人の多くが不足している。カレイ100gで1日推奨量のほぼ9割近くを賄える数値は、魚介類の中でも突出している。

また脂質がわずか1.3g(100g中)という低脂質さも特徴で、高タンパク・低カロリーを求める方や、消化機能が低下している病後の方の食事としても優れている。縁側(えんがわ)と呼ばれるヒレ周辺の部位はコラーゲンが豊富で、独特の歯ごたえがあり、回転寿司でも人気のネタだ。

ヒラメとの栄養比較

カレイと混同されがちなヒラメの栄養と比較すると、いくつかの違いが見える。

栄養素 マコガレイ(生)100g ヒラメ・天然(生)100g
エネルギー 95 kcal 103 kcal
たんぱく質 19.6 g 20.0 g
脂質 1.3 g 2.0 g
ビタミンD 13 μg 3 μg
カルシウム 43 mg 22 mg

たんぱく質はほぼ同等だが、ビタミンDはカレイがヒラメの約4倍。脂質はカレイの方が低い。一般的に価格はヒラメの方が高く、市場での希少性が価格差に反映されている。

カレイの選び方と鮮度の見極め方

鮮度の見分け方──現場のプロはここを見る

カレイは比較的足が早い(傷みやすい)魚だ。スーパーや魚屋で選ぶときは以下のポイントをチェックしよう。

新鮮なカレイのサイン

  • 目が澄んで突き出している(沈んでいたら鮮度が落ちている)
  • 表面に天然のぬめりがある
  • 押すとしっかりと弾力がある
  • エラを開けると鮮やかな赤色をしている
  • 生臭さがなく、海の香りがする

鮮度低下のサイン

  • 目が濁っていたり、くぼんでいる
  • エラが茶色・黒っぽい
  • 身がぶよぶよして弾力がない
  • 強い生臭いにおいがする

ブランドカレイの入手先

万葉かれい(富山・新湊)、三陸のナメタガレイ(宮城)、津軽のマコガレイ(青森)など産地ブランドのカレイは、地方の鮮魚専門店や産地直送の通販サービスを利用すると入手しやすい。ただし気候変動の影響で、旬の時期でも入手困難になるケースが増えている。産地の漁協や直販サイトで最新の水揚げ状況を確認することをすすめる。

カレイの調理法──旬の味を最大限に引き出す

煮つけ──最も定番の家庭料理

カレイの煮つけは「魚の煮つけ」の代名詞だ。甘辛い煮汁が骨周りの身に染み込み、身がほぐれやすいカレイの特性と相性が抜群。

基本の煮つけ(2人分)

  • カレイ:2切れ(200〜250g)
  • しょうゆ:大さじ2
  • みりん:大さじ2
  • 酒:大さじ2
  • 砂糖:大さじ1
  • 水:100ml
  • しょうが(薄切り):3〜4枚

煮汁を沸騰させてからカレイを投入→落とし蓋をして中火で8〜10分。煮ている間は動かさないことが崩れ防止の鉄則だ。最後に火を強めて煮汁を絡めれば完成。

刺身・薄造り──マコガレイ最大の醍醐味

高鮮度のマコガレイは刺身として食べるのが最高の贅沢だ。透き通るような白身を薄く引いた薄造りは、繊細な甘みと歯ごたえが楽しめる。縁側は細く切り分けて別添えにすることが多い。

刺身にする場合は水揚げ当日のものを選ぶこと。魚屋で「今日水揚げのもの?」と確認する習慣をつけることをすすめる。

唐揚げ・天ぷら──小型カレイはまるごと揚げて

ヤナギムシガレイや小型のムシガレイは骨ごと揚げると丸ごと食べられる。唐揚げにすると骨までカリカリになり、カルシウムも丸ごと摂取できる。一尾まるごと揚げると見栄えもよく、居酒屋メニューとしても定番だ。揚げ温度は170〜175℃で3〜4分が目安。

FAQ──カレイに関するよくある疑問

Q1. カレイの旬はいつですか?一番おいしい時期を教えてください。

種類によって異なります。最もメジャーなマコガレイは9月〜2月(秋〜冬)が旬で、12〜1月が最盛期です。ナメタガレイ・マガレイも冬(12〜2月)が旬。ただしヤナギムシガレイは5〜8月の夏が旬と、種類によって真逆の旬を持つものもあります。スーパーで「カレイ」として並ぶのは多くの場合マガレイかムシガレイで、秋〜冬が食べ頃です。

Q2. カレイとヒラメの違いは何ですか?

最大の違いは目の位置と価格です。「左ヒラメに右カレイ」で覚えると、目を上にしたとき目が左に寄ればヒラメ、右に寄ればカレイと判別できます。栄養面では両者とも高タンパク・低脂質ですが、ビタミンDはカレイの方が約4倍豊富です。価格はヒラメの方が一般に高い傾向があります。

Q3. 万葉かれいとは何ですか?なぜ有名なのですか?

富山県射水市(旧新湊市)の近海で水揚げされるマコガレイのブランド名です。万葉集にも詠まれた歴史ある漁場の産物で、肉厚で甘みが強いと評価されています。底引き網漁で漁獲されますが、2026年は海水温上昇により出荷ゼロで今季終了。気候変動が伝統的な漁業文化を揺るがしている現実の象徴的な事例です。

Q4. カレイのビタミンDはどのくらいですか?

マコガレイ(生)100g中にビタミンDが13μg含まれています(文科省八訂)。厚生労働省が定める成人の1日摂取目安量は15μgですので、100gでその約87%を摂れる計算です。ビタミンDは骨密度維持・免疫調節・筋力低下予防に重要な栄養素で、食品から摂りにくいとされていますが、カレイはサケ・マグロと並ぶ優れた供給源です。

Q5. カレイの子持ちとは何ですか?旬はいつですか?

「子持ちカレイ」とは卵巣(真子)が充実したメスのカレイで、主にナメタガレイやマガレイを指します。産卵前の12〜2月に漁獲され、卵巣が橙色に充実した状態が最もおいしい。正月の縁起物として東北地方で特に珍重され、煮つけにして食べるのが伝統的な食べ方です。

Q6. スーパーに並ぶカレイはどの種類ですか?

流通量の多い順に、マガレイ・ムシガレイ・カラスガレイ(冷凍)・マコガレイです。パッケージに魚種の表示がある場合はそちらで確認を。「真子がれい」の表示があればマコガレイ(または子持ちカレイ)で高品質な証です。「カレイ(輸入)」とあればカラスガレイやグリーンランドガレイの冷凍品が多く、煮つけ・フライ向きです。

Q7. カレイはダイエット中に食べていい魚ですか?

はい、優れたダイエット向き魚のひとつです。マコガレイ100gで95kcal・たんぱく質19.6g・脂質1.3gという高タンパク・低カロリー・低脂質の組み合わせは、筋肉を維持しながら体脂肪を減らしたい方に理想的です。ただし煮つけにすると調味料のカロリーが加わるため、塩焼きや蒸し料理にするとよりカロリーを抑えられます。

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まとめ──旬のカレイを知って、賢く食卓に取り入れよう

カレイは種類が豊富で、それぞれに旬・産地・味わいが異なる奥深い魚だ。秋の走りである9月から、マコガレイは旬のシーズンに入る。12〜1月の最盛期を迎えるころには、縁側のコリコリした食感と白身の上品な甘みが最高の状態になる。

一方、2026年の万葉かれい不漁が示すように、気候変動による海水温の上昇が旬の時期やブランド魚の安定供給に影響を与えている。「例年通り」の旬が通用しなくなりつつある現実は、水産業界全体の課題だ。

カレイと並ぶ白身底魚のタイの旬や、カレイが漁獲される底引き網漁の詳細は関連記事を参照してほしい。水産業界のデータや統計については水産業界データハブでも最新情報を確認できる。


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