今週の水産業界ニュースまとめ【2026年9月第4週・9/21〜9/27】

今週の水産業界ニュースまとめ【2026年9月第4週・9/21〜9/27】 未分類

最終更新: 2026-09-27

今週は北海道・十勝川での秋サケ密漁が繰り返し報道され、八代海では赤潮によって養殖ブリなど153万匹が死ぬ被害が確認された。岩手県久慈市では陸上養殖施設の整備が続報として伝えられ、台風25号による印旛沼の堤防決壊では養殖ウナギが大量流出するなど、密漁対策・赤潮被害・気象災害という複数の側面から漁業・養殖現場への影響が目立った一週間だった。

前回(week38)のまとめはこちらから確認できる。

秋サケの密漁が北海道で頻発 ドローンによる摘発が相次ぐ

北海道・十勝川の幕別町周辺で、秋サケの密漁がドローンによって相次いで撮影された。8人組が30〜50匹相当のサケを密漁し、卵を取り出して魚体を捨てる行為も確認されたという。漁業取締船の船長は「非常に身勝手な犯行」とコメントしている(情報元:北海道新聞デジタル、Yahoo!ニュース、HOME広島ホームテレビ)。北海道では秋サケの資源回復を目的に釣りへの罰則付き規制も始まっており(情報元:北海道新聞デジタル)、遊漁者・密漁者の双方に対する監視と規制の強化が同時並行で進んでいる構図がうかがえる。

赤潮による養殖被害 八代海でブリなど153万匹が死亡

八代海では赤潮の発生により、ブリなど養殖魚153万匹が死亡し、被害額は37億円を超えたと報じられた。地元漁協の組合長は「ひどすぎて続けてと言えない」と窮状を訴えている(情報元:Yahoo!ニュース)。北海道の室蘭港でも赤潮が発生したが、こちらは漁業被害が確認されておらず、道が注意を呼びかけるにとどまっている(情報元:北海道新聞デジタル、47NEWS)。同じ赤潮でも被害の有無が海域によって大きく異なる点は、養殖経営における立地・海況リスクの重さを改めて示している。

陸上養殖の広がり 岩手・久慈市のサーモン養殖施設に続報

先週まとめた岩手県久慈市の陸上養殖施設について、整備を手がけた東京の水産商社が「海面養殖と遜色ないサーモンに」との抱負を語ったことが続報として伝えられた(情報元:河北新報オンライン)。陸上養殖は海況や赤潮の影響を受けにくいという利点があり、今週八代海で確認された赤潮被害のような事態への備えとしても注目される。陸上養殖の仕組みやメリット・デメリットは陸上養殖のメリット・デメリット、サーモン養殖全般の動向はサーモン養殖の日本事情で詳しく解説している。

資源管理の動き マイワシ・マサバ不漁とトリガイ種苗生産

茨城県ではマイワシ・マサバの不漁が深刻化しており、県が漁場の探索調査を強化し、巻き網船団に情報提供する取り組みを進めている(情報元:ibarakinews.jp)。宮城県女川町では、トリガイの種苗生産で生残率4パーセントを達成し、事業化に向けた動きが報じられた。女川町・チキンクラム・宮城県漁業協同組合が連携し、世界市場の獲得も見据えているという(情報元:Yahoo!ニュース)。不漁が続く魚種がある一方で、新たな種苗生産技術で漁獲対象の幅を広げようとする動きが同時に進んでいる。

また、サメによる漁業被害も447件に急増しており、被害が集中した地域では県が緊急対策に乗り出すとともに、捕獲後の有効活用も模索されている(情報元:nnn.co.jp)。

水産加工・流通 印旛沼のウナギ流出と越前がにの返礼品問題

台風25号の影響で千葉県の印旛沼の堤防が決壊し、養殖ウナギ5万匹が流出した。「全滅だろう」との現地の声も伝えられており、稲作を含む農漁業全体に大きな打撃を与えている(情報元:Yahoo!ニュース、読売新聞)。ウナギ養殖が抱える構造的な課題についてはウナギ養殖の課題を解説でも取り上げている。

福井県の越前がにをめぐっては、規定以上の水分を含む「水がに」がふるさと納税の返礼品から除外される問題が発生し、風評被害への懸念が広がっている。「打撃を受けるのは漁師」という声が上がる中、越前町は漁業者に経緯を説明し、対応を批判する声も出ている(情報元:news.ntv.co.jp、Yahoo!ニュース)。ブランド価値の維持と品質基準の運用という難しいバランスが問われる事案だ。

行政・法改正 島根県の担い手支援と漁業者の減少・高齢化

島根県は沿岸漁業者への支援に力を入れており、設備整備や生活費補助を通じて新たな担い手の確保を目指す方針が報じられた(情報元:47NEWS)。一方で、水難救助員が2007年度以降の20年間で1万人(4.8万人へ)減少しており、その主因として漁業者自体の減少・高齢化が挙げられている(情報元:北日本新聞webunプラス、fukuishimbun.co.jp)。担い手支援策が各地で講じられている背景には、こうした構造的な人手不足があることがうかがえる。

人材・地域振興の動き 就職相談会と次世代への漁業体験

高知県では、カツオの一本釣りからマダイの養殖まで、未経験からでも一次産業に挑戦できる合同就職面談会が9月27日に開催される(情報元:高知さんさんテレビ、kochinews.co.jp)。漁師の仕事を未経験から探す方法については漁師の求人を未経験から探す方法も参考にしてほしい。

福岡県立水産高校の生徒らは、ハワイ諸島沖でのマグロはえ縄漁業実習に出航した(情報元:読売新聞)。金沢では水産物の消費拡大を目的に、漁業者が小学生に漁や魚についての授業を行った(情報元:NHKニュース)。就職相談会から高校生の実習、小学生向けの授業まで、世代を問わず水産業への理解を広げる取り組みが今週は各地で重なった。

今週の主要ニュース一覧

日付 カテゴリ トピック 注目度
9/20 漁業・養殖 秋サケ釣り、罰則付き規制開始 中
9/20-9/21 行政・法改正 島根県、沿岸漁業者支援で担い手確保へ 中
9/20-9/22 行政・法改正 水難救助員1万人減、漁業者減・高齢化が背景 中
9/21 水産キャリア 福岡県立水産高校、ハワイ沖マグロはえ縄実習 低
9/22 漁業・養殖 サメによる漁業被害447件に急増、県が緊急対策 中
9/22 漁業・養殖 八代海の赤潮でブリなど153万匹死亡、被害額37億円超 高
9/23 漁業・養殖 茨城県、マイワシ・マサバ不漁で漁場探索調査強化 中
9/24-9/26 水産加工・流通 印旛沼堤防決壊、養殖ウナギ5万匹流出 高
9/24 水産キャリア 高知で農林漁業の合同就職面談会(9/27開催) 低
9/24 水産キャリア 金沢、漁業者が小学生に漁・魚の授業 低
9/25 漁業・養殖 十勝川で秋サケ密漁、ドローンが撮影 高
9/25 漁業・養殖 室蘭港で赤潮発生(漁業被害確認されず) 低
9/25-9/27 水産加工・流通 越前がに「水がに」返礼品除外問題、風評被害懸念 中
9/26 漁業・養殖 岩手・久慈市の陸上養殖施設、続報 中
9/27 漁業・養殖 女川町、トリガイ種苗生産で生残率4%達成 中

今週のまとめと来週の注目点

今週は密漁・赤潮・気象災害という、現場にとって予防が難しい種類のリスクが重なって表面化した一週間だった。北海道・十勝川の秋サケ密漁は摘発の様子がドローン映像として繰り返し報じられ、八代海の赤潮被害や印旛沼のウナギ流出は、養殖経営が自然環境の変化に対してどれだけ脆弱かを改めて示した。一方で、岩手・久慈市の陸上養殖施設や女川町のトリガイ種苗生産のように、環境リスクに左右されにくい生産体制を模索する動きも並行して進んでいる。島根県の担い手支援策や高知の合同就職面談会など、人材確保に向けた取り組みも各地で続いている。

来週の注目点は次の通りだ。

  • 十勝川の秋サケ密漁について、摘発・処分の続報が出るか
  • 越前がにの「水がに」返礼品除外問題が漁業者への実害にどう波及するか
  • 印旛沼の養殖ウナギ被害の全容と支援策の行方
  • 八代海の赤潮被害を受けた養殖再開・支援策の動き

自然環境に起因するリスクと、それに対応する生産体制・人材確保の両面から、引き続き各地の動きを追っていく。

参考記事


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