漁師の副業おすすめ7選|閑散期を活かす収入アップ術と始め方

漁師の副業おすすめ7選|閑散期を活かす収入アップ術と始め方 水産キャリア

最終更新: 2026-05-18

漁師の副業が今注目される理由|兼業率2割の現実

「漁師 副業」の検索関心は2025年10月にピークを記録し、年間を通じて安定した需要がある。背景には、天候や漁獲量に左右されやすい漁業収入への不安と、閑散期に時間を持て余す現実がある。

農林水産省の漁業センサス(2018年)によると、海面漁業経営体の約2割が漁業以外の兼業を行っている(詳しいデータは水産業界の統計データまとめをご覧ください)。個人経営体では農業や遊漁船業が多く、団体経営体では水産物の加工・小売業が目立つ。漁業就業者数は2022年時点で12万3,100人(前年比4.8%減)と減少の一途をたどっており、一人当たりの収入確保がますます重要になっている。

この記事では、現役漁師や元漁師への取材情報と公的統計をもとに、漁師に向いている副業7選を具体的に紹介する。月収の目安、必要な資格・届出、そして季節ごとの最適な副業スケジュールまで、この記事だけで副業選びが完結する構成にした。

漁師が副業を選ぶ前に知っておくべき3つの前提条件

副業を始める前に、漁師特有の制約を理解しておこう。これを知らないと「始めたけど続かなかった」という失敗パターンにはまる。

1. 漁業権・漁協規則との関係

漁業権は特定の水域で漁業を行う権利であり、所属する漁業協同組合(漁協)の規則で副業が制限されるケースがある。特に「組合員は他の営利事業に従事する場合は届出が必要」と定める漁協が多い。副業を始める前に、所属漁協の定款を確認し、必要に応じて事前届出を行うことが重要だ。漁業権や資格の全体像については「漁業の資格一覧|種類別に必要な免許・許可を解説」でまとめている。

2. 閑散期と繁忙期の把握

漁種によって閑散期は大きく異なる。以下は代表的な漁業の年間スケジュールだ。

漁業種類 繁忙期 閑散期(副業に充てやすい時期)
定置網漁 4〜11月 12〜3月
カキ養殖 10〜3月(収穫期) 5〜8月
サケ定置網 9〜12月 1〜5月
一本釣り(カツオ) 4〜10月 11〜3月
底引き網漁 9〜5月 6〜8月
ウニ漁 5〜8月 9〜4月

自分の漁業スケジュールを把握し、閑散期に集中できる副業を選ぶのが成功の鍵だ。各漁法の具体的な仕事内容は「漁師の一日スケジュール|漁業種類別の働き方」で詳しく解説している。

3. 体力配分の現実

漁師の仕事は肉体労働だ。繁忙期に体を酷使しながら副業まで詰め込むと、本業のパフォーマンスが落ちる。副業は「閑散期メイン+繁忙期は軽作業のみ」という配分が現実的だ。

漁師におすすめの副業7選|収入目安と始め方

ここからは、漁師の強みや環境を活かせる副業を具体的に紹介する。

副業1. 遊漁船業(釣り船ガイド)

漁師のスキルと船を直接活かせる王道の副業。遊漁船業は、お客さんを船に乗せて釣りを楽しんでもらうサービスだ。

項目 内容
月収目安 15〜40万円(週末のみなら10〜20万円)
必要資格 小型船舶操縦士免許(多くの漁師は取得済み)、遊漁船業務主任者講習修了+実務研修30日間
届出先 都道府県知事への遊漁船業の登録
初期費用 5〜30万円(講習15,000円+保険加入・安全設備の追加)
適した閑散期 本業の閑散期に週末営業、または本業が早朝終了後に午後便を出す

遊漁船業務主任者の講習自体は約4時間・費用15,000円程度だが、2024年4月以降は講習に加えて30日間(1日5時間以上)の実務研修が必須となった。既に遊漁船業者のもとで経験がある漁師には有利だ。漁場を熟知し、魚の動きを読めるスキルは大きなアドバンテージになる。

実際に遊漁船業を始めた漁師からは「平日は本業、土日は遊漁船」というスタイルで月額20万円前後の副収入を得ているケースが報告されている。

副業2. 水産物の加工・直売

自分で獲った魚を加工して付加価値をつけ、直接消費者に販売する方法。鮮魚のまま市場に出すより高単価を狙える。

項目 内容
月収目安 5〜30万円(販路と加工品による)
必要資格 食品衛生責任者、水産加工業の営業許可
届出先 保健所(食品営業許可申請)
初期費用 50〜200万円(加工設備導入。自治体の補助金活用で軽減可)
適した時期 通年(特に漁獲が多い時期に仕込み、閑散期に販売)

加工品の例としては、���物、燻製、漬け丼セット、魚醤などがある。干物の作り方は「魚の干物の作り方|自宅で簡単にできるプロの技」を参考にしてほしい。近年はECサイトやふるさと納税の返礼品登録による販路開拓が増えており、地方の漁師でも全国に販売できる環境が整っている。

食品衛生責任者は1日の講習(約1万円)で取得可能。保健所への営業許可申請は、加工施設の設備基準を満たす必要があるため、着手前に管轄の保健所に事前相談するのがベストだ。

副業3. 漁業体験・観光ガイド

漁船に観光客を乗せて漁業体験を提供するサービス。インバウンド需要の回復とともに注目されている。

項目 内容
月収目安 5〜20万円(1回5,000〜15,000円/人、月4〜10回開催)
必要資格 特になし(船に乗せる場合は遊漁船業登録が必要なケースあり)
届出先 観光協会・自治体への連携が有利
初期費用 数万円(保険・ライフジャケット追加分)
適した時期 5〜10月(観光シーズン)

定置網の網起こし体験、素潜り漁の見学ツアー、漁師飯の提供などが人気メニュー。1日あたり1〜2万円の副収入を得ている漁師も多い。予約管理はじゃらんやアソビューなどの体験予約サイトに登録すると集客が楽になる。

副業4. 警戒船業務

港湾工事や海上工事の際に、一般船舶の安全を確保するために配置される警戒船の操船業務。漁師の船と操船技術をそのまま活かせる。

項目 内容
日当目安 2〜4万円/日
必要資格 警戒業務管理者(3時間程度の講習で当日取得可)
届出先 港湾建設会社との業務委託契約
初期費用 約1万円(講習費用)
適した時期 工事期間に依存(通年で需要あり)

警戒船業務は、港湾工事が行われる地域で特に需要が高い。1日の拘束時間は8〜10時間程度で、基本的に待機が多いため体力的な負担は少ない。月に10日稼働すれば20〜40万円の副収入になる計算だ。

副業5. 農業(半農半漁)

古くからある兼業スタイルだが、今も有力な選択肢。漁の閑散期に農作業を行う「半農半漁」は、食料自給の面でも安定感がある。

項目 内容
月収目安 3〜15万円(作物・規模による)
必要資格 特になし(農地取得には農業委員会の許可が必要)
届出先 農業委員会(農地取得時)
初期費用 10〜50万円(小規模の場合。農機具のレンタルで抑制可)
適した時期 漁の閑散期に合わせた作物選び

水産庁の白書でも、沿岸漁業の個人経営体で最も多い兼業先として農業が挙げられている。離島や漁村では耕作放棄地を安価に借りられるケースもあり、初期投資を抑えやすい。

副業6. 水産系コンテンツ制作(YouTube・ブログ・SNS)

漁師の日常や魚の知識を発信するコンテンツ制作。初期費用が低く、場所を選ばないのが魅力。

項目 内容
月収目安 0〜50万円(フォロワー数・再生数による。軌道に乗るまで半年〜1年)
必要資格 特になし
初期費用 3〜10万円(防水カメラ・編集ソフト)
適した時期 通年(漁の合間に撮影・編集)

YouTubeで漁の様子を配信する「漁師系YouTuber」は再生数を稼ぎやすいジャンル。船上からのライブ配信や、捌き方の解説動画は固定ファンがつきやすい。広告収入に加え、自社加工品の販売につなげられるため、副業2との相乗効果が高い。

副業7. 民泊・漁家民宿

自宅や空き家を活用して宿泊施設を運営する。漁師飯の提供と組み合わせることで単価を上げられる。

項目 内容
月収目安 5〜30万円(稼働率と単価による)
必要資格 旅館業法の簡易宿所営業許可、または住宅宿泊事業法の届出
届出先 保健所(旅館業)または都道府県(民泊届出)
初期費用 50〜300万円(改装費。自治体の補助金制度あり)
適した時期 観光シーズン中心(5〜10月、地域による)

住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出であれば、年間180日以内の営業が可能。漁師の朝食として獲れたての魚を出せるのは大きな差別化要素になる。AirbnbやBooking.comへの掲載で海外からの予約も見込める。

季節別・副業スケジュールモデル|年間収入を最大化する組み合わせ

漁師の副業は単発ではなく、年間を通じたポートフォリオとして組むのが理想的だ。以下は沿岸漁業(定置網漁)の漁師を想定したモデルケースである。

本業(定置網漁) おすすめ副業 副業収入目安
1月 閑散期 水産加工(干物仕込み)+警戒船 20〜30万円
2月 閑散期 水産加工(販売)+農業準備 15〜25万円
3月 閑散期 農業(畑の準備)+遊漁船(春の釣りシーズン開始) 15〜20万円
4月 繁忙期開始 遊漁船(週末のみ) 10〜15万円
5月 繁忙期 漁業体験ガイド(週末) 5〜10万円
6月 繁忙期 コンテンツ制作(撮影) 0〜5万円
7月 繁忙期 民泊(夏休み需要)+コンテンツ 10〜20万円
8月 繁忙期 民泊+漁業体験 15〜25万円
9月 繁忙期 遊漁船(秋の釣りシーズン) 10〜15万円
10月 繁忙期 遊漁船+コンテンツ編集 10〜15万円
11月 繁忙期→閑散期移行 水産加工(仕込み開始)+警戒船 15〜20万円
12月 閑散期 水産加工(歳暮需要)+警戒船 25〜35万円

このモデルケースでは、年間の副業収入だけで150〜235万円が見込める。本業と合わせて年収500万円以上を目指すことも現実的だ。

副業を始める際の届出・手続きチェックリスト

副業の種類に関わらず、以下の手続きを確認しておこう。

手続き項目 対象 届出先 備考
所属漁協への届出 全員 漁業協同組合 定款で届出義務がある場合
個人事業の開業届 年間所得20万円超見込み 税務署 開業から1カ月以内
青色申告承認申請 節税を希望する場合 税務署 開業届と同時に提出
食品営業許可 加工・飲食提供 保健所 施設基準の事前確認必須
遊漁船業登録 遊漁船業 都道府県 主任者講習修了後に申請
民泊届出 民泊事業 都道府県 消防設備の基準確認

確定申告については、漁業所得と副業所得を合算して申告する。副業所得が年間20万円以下でも住民税の申告は必要な点に注意してほしい。

漁師の副業で失敗しないための5つの注意点

注意点1. 本業の漁に支障を出さない

副業に熱中するあまり、漁の準備や網の手入れがおろそかになると本末転倒だ。「副業のために漁を休む」という状況にならないよう、優先順位を明確にしておく。

注意点2. 漁協との関係を悪化させない

遊漁船業や直売で漁協を通さない販売を行うと、仲間の漁師との関係がこじれるケースがある。始める前に組合長や先輩漁師に相談し、地域のルールに従うことが重要だ。

注意点3. 保険の見直し

漁業保険(漁船保険・漁業共済)は本業の漁業に対する補償であり、副業中の事故はカバーされないことが多い。遊漁船業や民泊を始める場合は、別途賠償責任保険に加入しておくべきだ。

注意点4. 設備投資を段階的に行う

加工施設や民宿の改装など、まとまった初期投資が必要な副業は、まずは小規模から始めて需要を確認してからスケールアップするのが安全。自治体の補助金や漁業振興の助成金を活用する方法も検討しよう。

注意点5. 確定申告を正しく行う

副業収入を申告しないと、後から追徴課税やペナルティが発生する。漁師の収入構造について詳しくは「漁師の年収はいくら?漁業種類別の収入を徹底比較」も確認しておこう。漁業所得と合わせて正しく申告するために、収支を日常的に記録する習慣をつけておくこと。会計ソフト(freeeやマネーフォワードなど)を活用すると手間が減る。

よくある質問(FAQ)

Q1. 漁師は副業禁止ですか?

A1. 法律上、漁師の副業は禁止されていない。ただし、所属する漁業協同組合の定款で届出義務が定められているケースがあるため、事前に漁協に確認しよう。農林水産省の調査でも海面漁業経営体の約2割が兼業を行っており、副業は一般的な選択肢だ。

Q2. 漁師の副業で人気なのは何ですか?

A2. 水産庁の白書によると、個人経営体では農業と遊漁船業が多く、団体経営体では水産物の加工・小売業が多い。近年はYouTubeなどのコンテンツ制作や漁業体験ガイドも増えている。

Q3. 副業を始めるのに資格は必要ですか?

A3. 副業の種類による。遊漁船業なら遊漁船業務主任者講習(約4時間)+実務研修30日間、水産加工なら食品衛生責任者(1日講習)が必要。農業やコンテンツ制作、警戒船業務(3時間講習)は比較的手軽に始められる。

Q4. 副業の収入はどのくらい見込めますか?

A4. 副業の種類と稼働時間による。遊漁船業なら週末のみで月10〜20万円、警戒船業務なら月10日稼働で20〜40万円が目安。複数の副業を組み合わせれば年間150〜235万円の副収入が見込める。

Q5. 漁師の副業で確定申告は必要ですか?

A5. 副業所得(収入から経費を引いた金額)が年間20万円を超える場合は確定申告が必要。20万円以下でも住民税の申告は別途必要なので注意。青色申告にすると最大65万円の控除が受けられるため、開業届と一緒に申請するのがおすすめだ。

Q6. 漁の閑散期はどうやって過ごすのが正解ですか?

A6. 閑散期は副業に充てるのが収入面では最も効果的。ただし、網や船の修繕など本業の準備にも時間を割く必要がある。本記事の季節別スケジュールモデルを参考に、本業の準備と副業のバランスを取った計画を立ててほしい。

Q7. 自治体の支援制度はありますか?

A7. 多くの漁村では漁業者の所得向上や定住促進のために補助金制度を設けている。水産加工施設の整備費用、民泊開業の改装費用、6次産業化の取り組みなどに対して、自治体や国の補助が受けられる場合がある。まずは市町村の水産担当課に相談しよう。

まとめ|副業は漁師のキャリアを守る「もう一つの網」

漁業就業者数が年々減少し、漁獲量の変動リスクも大きい今、副業は漁師のキャリアを安定させる重要な手段だ。本記事で紹介した7つの副業の中から、自分の漁業スケジュールとスキルに合ったものを選び、まずは1つ小さく始めてみてほしい。

次のアクションとして、以下のステップを提案する。

1. 所属漁協の定款を確認し、副業に関する規則を把握する

2. 自分の閑散期を明確にし、その時期にできる副業を絞り込む

3. 必要な資格・届出を確認し、取得スケジュールを立てる

漁師としてのキャリアをさらに深く理解したい方は、「漁師になるには?未経験からの転職ガイド」や「漁師の年収はいくら?漁業種類別の収入を徹底比較」も参考にしてほしい。

参考情報

  • 農林水産省「漁業センサス」(2018年)— 漁業経営体の兼業状況(約2割が兼業)
  • 水産庁「令和元年度 水産白書」特集「漁業における兼業の実態」(https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/r01_h/trend/1/t1_f2_5.html)
  • 農林水産省「漁業構造動態調査」(2022年)— 漁業就業者数12万3,100人
  • e-Stat 統計表ID: 0001886486 — 海面漁業・養殖業産出額
  • 水産庁「遊漁船業務主任者を養成するための講習の実施について」(https://www.jfa.maff.go.jp/j/yugyo/y_what/kousyu.html)— 2024年4月改正、実務研修30日間必須
  • 国土交通省 観光庁「民泊制度ポータルサイト」(https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/)— 住宅宿泊事業法180日規定
  • 一般社団法人東京都食品衛生協会 — 食品衛生責任者養成講習会(受講料12,000円、2025年時点)



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