漁師の種類は8つ|漁法・年収・勤務形態を一覧比較【2026年版】

漁師の種類は8つ|漁法・年収・勤務形態を一覧比較【2026年版】 漁業・漁法

最終更新: 2026-06-22

2023年漁業センサスによると、日本の漁業就業者数は12万1,389人で、5年前から2割(3万312人)減少しています。「漁師」とひと口に言っても、定置網で毎日港に戻る漁師と、遠洋マグロ漁で数ヶ月海上に出る漁師では、生活も収入もまるで別の仕事です。

「漁師に興味があるけれど、どんな種類があるのかわからない」「自分に合った漁法を知りたい」という疑問を抱えていませんか。

この記事では、漁師の種類を漁法別に8タイプに分類し、それぞれの仕事内容・年収・勤務形態を徹底比較します。まず漁業の4大分類を解説し、次に漁法別の詳細、最後にあなたに合った漁師タイプの見つけ方をお伝えします。

漁師の種類とは?漁業の4大分類を解説

漁師の種類は、漁をする場所によって大きく4つに分類されます。農林水産省も公式にこの分類を用いており、それぞれで就労環境が大きく異なります。

分類 漁場 船の大きさ 出漁期間 就業者の割合
沿岸漁業 日帰り圏内の沿岸域 10トン未満 日帰り 約8割
沖合漁業 日本近海 10〜200トン 2〜3日 約1割強
遠洋漁業 世界中の海域 200トン以上 数週間〜数ヶ月 約1割未満
養殖業 沿岸・内水面・陸上 不要(筏・生簀中心) 通年(定時勤務も可) 増加傾向

農林水産省「漁業産出額」によると、日本の海面漁業・養殖業の産出額は合計約1兆4,228億円です。このうち海面漁業が約9,368億円、海面養殖業が約4,357億円を占めています(e-Stat 統計表ID: 0001886486)。

沿岸漁業は漁業就業者の約8割を占め、日本の漁業を支える中核です。一方で、沖合漁業が漁獲量全体の約6割を担い、生産量では主力となっています。この「人数と生産量のギャップ」は、漁師の種類を理解するうえで押さえておくべきポイントです。

漁法別に見る漁師の種類8選|仕事内容と特徴

ここからは、漁業の4大分類をさらに漁法別に細分化し、代表的な8つの漁師タイプを紹介します。

1. 定置網漁師

定置網は、沿岸に固定した網に回遊魚を誘い込んで漁獲する方法です。集団で操業するため未経験者でも参入しやすく、新規就業者の受け皿として重要な役割を果たしています。

朝4〜5時に出港して網を揚げ、午前中に帰港するのが一般的です。日帰り操業のため家族との時間を確保しやすい一方、早朝からの体力仕事が求められます。

漁獲対象はブリ・サケ・イワシ・アジなど多岐にわたり、季節ごとに獲れる魚種が変わるのも特徴です。6月なら旬を迎えるすずきやいさきが網にかかることもあります。

実際に定置網の現場で働く漁師からは「チームワークで動くから一人で悩まなくていい」という声がよく聞かれます。漁業未経験で転職してきた人が最も多い漁法と言っても過言ではありません。

定置網漁の詳しい仕組みは定置網漁の仕組み徹底解説で紹介しています。

2. 底引き網漁師

海底付近に網を曳いて底生魚介類を漁獲する漁法です。エビ・カレイ・ヒラメ・カニなど高値で取引される魚種を狙えるのが魅力です。

沿岸型(小型底引き)と沖合型(大型底引き)があり、前者は日帰り、後者は2〜3日の航海になります。操業には都道府県知事または農林水産大臣の漁業許可が必要で、参入障壁は比較的高めです。

網で海底を曳くため、環境への影響が指摘される場面もあります。近年は操業区域や禁漁期間の規制が強化されている地域もあるため、就業前に各地域の規制状況を確認しておくことが大切です。

3. 一本釣り・はえ縄漁師

竿や延縄で1匹ずつ魚を釣り上げる漁法です。マグロ・カツオ・タイ・イカなど対象魚種は幅広く、釣った魚は網で擦れないため鮮度・品質が高く、市場での評価も良くなります。

「腕がものを言う」漁法で、経験年数によって漁獲量に大きな差が出ます。独立志向の強い漁師が好む傾向があり、ベテランになるほど高収入を狙えます。逆に言えば、始めたばかりの時期は収入が安定しにくい側面があります。

一本釣りの技術については一本釣り漁法の解説記事で詳しく取り上げています。

4. まき網漁師

大型の網で魚群を囲い込んで一度に大量の魚を漁獲する漁法です。イワシ・サバ・アジ・サンマなど群れで回遊する魚が対象で、日本の漁獲量に大きく貢献しています。

船団を組んで操業するため、乗組員として雇用される形が一般的です。大型まき網漁船では15〜30人のクルーが必要で、月給制や固定給+歩合の給与体系で安定した収入が見込めます。

操業は夜間に魚群を集魚灯で集めて網を巻く方式が多く、体力的にハードな面はありますが、その分しっかり稼げるのが特徴です。

5. 刺し網漁師

水中に網を張って、魚が通りかかった際に網目に絡ませて漁獲する漁法です。小規模な設備で始められるため、個人経営の沿岸漁師に人気があります。

設置場所や網目の大きさで対象魚種を変えられる自由度の高さが魅力です。ただし、網の修繕にかなりの時間と手間がかかる点を知っておく必要があります。

実際の現場では「漁に出ている時間より網を直している時間のほうが長い」と言われることもあり、手先の器用さと忍耐力が求められる漁法です。

6. 素潜り・海女漁師

装備は最小限で、自分の身体ひとつで海に潜って漁獲する最も原始的な漁法です。アワビ・サザエ・ウニ・海藻類が主な漁獲対象で、三重県の海女文化はユネスコ無形文化遺産の登録を目指す動きもあります。

体力と潜水技術が求められますが、設備投資が少なく済むのが利点です。近年は男性の参入も増えていますが、就業できる地域が限られる点に注意が必要です。

7. 遠洋マグロ漁師

太平洋やインド洋など世界の海を舞台に、延縄でマグロを狙う漁師です。1航海が数ヶ月に及び、生活のほとんどを船上で過ごします。

農林水産省の統計によると、まぐろ類の産出額は全国で約1,237億円と、単一魚種カテゴリとして非常に大きな市場を形成しています(e-Stat 統計表ID: 0001886486、くろまぐろ・めばち・きはだ等の合計)。

拘束期間が長い分、年収は600万〜800万円と漁師の中でもトップクラスです。ただし、長期の航海に耐えられるかどうかは適性が大きく分かれるところです。実際に遠洋漁師として働く人の中には「海の上に出ると陸のストレスから解放される」と話す方もいれば、「家族と離れるのが一番つらい」という方もいます。

遠洋漁業の全体像は遠洋漁業の種類と特徴で解説しています。

8. 養殖漁師

海面や陸上の施設で魚介類を育てる漁師です。ブリ・マダイ・サーモン・カキ・ホタテなど対象は多岐にわたります。

海面養殖業の産出額は全国で約4,357億円で、ぶり類養殖だけで約1,065億円を占めています(e-Stat 統計表ID: 0002001226)。天然資源に依存しないため、計画的な生産と安定収入が見込めるのが大きな魅力です。

2023年4月からは陸上養殖が届出養殖業となり、届出件数は2024年1月時点で662件に達しています(水産庁「令和5年度水産白書」)。IT企業や食品メーカーからの異業種参入も活発で、今後さらに成長が見込まれる分野です。

養殖業への参入については養殖業の始め方ガイドで手順を詳しく紹介しています。

漁師の種類別 年収・勤務形態の比較表

漁師の種類によって年収と勤務形態は大きく異なります。転職を検討する際の参考として、主要な漁師タイプを一覧で比較します。

漁師タイプ 年収の目安 勤務パターン 拘束期間 未経験者の参入しやすさ
定置網漁師 250〜400万円 早朝〜午前中 日帰り 高い
底引き網漁師 300〜500万円 深夜〜翌日 日帰り〜2日 やや高い
一本釣り漁師 200〜700万円 早朝〜夕方 日帰り やや低い
まき網漁師 350〜550万円 シフト制 1〜3日 高い
刺し網漁師 200〜350万円 早朝〜午前中 日帰り 高い
素潜り漁師 150〜400万円 午前中心 日帰り 低い
遠洋マグロ漁師 600〜800万円 24時間シフト 数ヶ月 やや高い
養殖漁師 300〜500万円 朝〜夕方(定時あり) なし(通勤型) 高い

漁業全体の平均年収は約351万円(2021年時点)とされていますが、上の表のとおり漁法によって200万〜800万円まで幅があります。より詳しい年収データは漁師の年収を徹底解説した記事をご確認ください。

ここで注意したいのは、沿岸漁業の個人経営者は漁獲量がそのまま収入に直結する点です。天候や漁況で年収が大きく変動するため、「平均年収」だけで判断するのは危険です。一方、まき網や大型定置網など会社組織で運営される漁業では、月給制や固定給+歩合の給与体系が多く、収入の安定性は高くなります。

自分に合った漁師の種類を見つける3つの判断軸

「どの漁師になればいいか」を考える際、以下の3つの軸で整理すると自分に合った道が見えてきます。これは実際に漁業への転職相談を受ける現場でもよく使われている考え方です。

判断軸1: 生活スタイルとの両立

家族構成やライフスタイルによって、選ぶべき漁師の種類は変わります。

生活の優先事項 おすすめの漁師タイプ 理由
家族との時間を確保したい 定置網・養殖 日帰り操業、定時勤務の選択肢がある
とにかく稼ぎたい 遠洋マグロ・沖合まき網 拘束は長いが高収入
自分のペースで働きたい 一本釣り・刺し網 個人経営が多く裁量が大きい
安定した給与がほしい まき網・大型定置網 会社組織で月給制が多い

判断軸2: 必要な資格と初期投資

漁師になるために必要な資格は漁業の種類によって異なります。漁船に乗る場合は小型船舶操縦士免許(1級または2級)が基本です。大型漁船では海技士免許が求められます。

個人で始める場合は中古漁船・漁具の購入に数百万〜数千万円かかりますが、雇われ漁師なら資格取得費用のみでスタートできます。各自治体の就漁支援制度を活用すれば、研修期間中に月額15万〜20万円の支援金を受け取れるケースもあります。

資格の詳細は漁業に必要な資格一覧で確認できます。

判断軸3: 将来のキャリアパス

漁師のキャリアは「雇われ乗組員 → 船長 → 独立経営」が王道ですが、最近は多様化しています。

養殖分野ではIoTセンサーやAIによる水質管理を活用する「スマート養殖」が広がっており、データ分析スキルを持つ人材の需要が急増しています。また、漁業と観光を組み合わせた「海業(うみぎょう)」も水産庁が推進する新しいキャリアの形です。6次産業化で自ら加工・販売まで手がける漁師も増えており、単なる「魚を獲る仕事」を超えた可能性が広がっています。

漁師の種類に関するよくある質問

Q1: 漁師の種類で最も稼げるのはどれですか?

年収だけで見ると遠洋マグロ漁師が600万〜800万円で最も高い水準です。ただし数ヶ月単位で家を離れる必要があります。日帰り操業で高収入を狙うなら、一本釣りでブランド魚を扱うベテラン漁師が年収700万円以上を稼ぐケースもあります。

Q2: 未経験から漁師になるなら、どの種類がおすすめですか?

定置網漁師が最もおすすめです。集団操業で先輩から技術を学びやすく、日帰りで生活リズムも安定します。全国漁業就業者確保育成センター(漁師.jp)でも新規就業者向けの情報を多数提供しています。漁師になるためのロードマップは[漁師になるには完全ガイド](https://suisan-navi.jp/fisherman-career-guide/)をご覧ください。

Q3: 養殖漁師と沿岸漁師の違いは何ですか?

沿岸漁師は天然の魚を漁獲するため、漁獲量が天候や漁況に左右されます。養殖漁師は自ら育てた魚を出荷するため、生産計画が立てやすく収入が比較的安定します。近年は養殖技術の高度化で品質も向上しており、ブランド養殖魚は天然物に匹敵する市場価値を持つ場合もあります。

Q4: 漁師の種類によって必要な体力は違いますか?

大きく異なります。遠洋漁業は24時間シフトで数ヶ月間の船上生活に耐えられる体力・精神力が求められます。一方、養殖業は比較的定時で働け、陸上養殖であれば重労働は限定的です。定置網や刺し網は早朝からの力仕事ですが、午前中に終わるため午後は自由に使えます。

Q5: 女性でもなれる漁師の種類はありますか?

すべての漁業に女性が従事できます。特に増えているのは養殖業と素潜り(海女)漁です。養殖は体力的な負担が比較的少なく、勤務時間も安定しているため家庭との両立がしやすい環境です。三重県や石川県では海女文化の継承として女性の参入を積極的に受け入れています。

Q6: 漁師の種類を途中で変えることはできますか?

可能です。たとえば定置網漁で基礎を学んだ後、一本釣りに転向するケースや、沿岸漁業から養殖業に移る例は珍しくありません。ただし、漁業権や漁業許可が漁法ごとに異なるため、地域の漁業協同組合への相談が必要です。

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まとめ:漁師の種類を理解して自分に合った道を見つけよう

漁師の種類を選ぶ際のポイントを整理します。

  • 漁師は大きく沿岸・沖合・遠洋・養殖の4分類、漁法別に8タイプに分けられる
  • 年収は漁法によって200万〜800万円と幅が大きい
  • 未経験者は定置網漁師または養殖漁師が参入しやすい
  • 生活スタイル・必要資格・キャリアパスの3軸で自分に合った種類を判断する
  • 養殖業やスマート漁業など、従来の「漁師像」を超えた新しい選択肢も広がっている

まずは自分の優先事項を明確にし、気になる漁法を絞り込んでみてください。水産業界の最新データは水産業界の統計まとめページで定期更新しています。

沿岸漁業と沖合漁業の違いをさらに深く知りたい方は、沿岸漁業と沖合漁業の違いを徹底解説した記事もあわせてご覧ください。

参考情報

  • 農林水産省「2023年漁業センサス結果の概要(確定値)」(https://www.maff.go.jp/j/tokei/kekka_gaiyou/gyocen/2023/kakutei.html)
  • 農林水産省「漁業産出額」(e-Stat 統計表ID: 0001886486)
  • 農林水産省「主要魚種別の海面養殖業産出額」(e-Stat 統計表ID: 0002001226)
  • 全国漁業就業者確保育成センター「漁師.jp」(https://ryoushi.jp/)
  • 水産庁「令和5年度 水産白書」(https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/R5/)



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