今週の水産業界ニュースまとめ【2026年10月第4週・10/19〜10/25】

今週の水産業界ニュースまとめ【2026年10月第4週・10/19〜10/25】 未分類

最終更新: 2026-10-25

今週は秋サケ・サンマといった秋の主要魚種で記録的な不漁が相次ぎ、海水温上昇の影響が改めて浮き彫りになった一週間だった。北海道ではイクラの急騰が懸念され、新潟・村上市では歴史的不漁からの回復を期す鮭漁が解禁された。一方で高知・秋田・城ヶ島など各地で陸上養殖の取り組みが広がり、ズワイガニの漁獲枠縮小など資源管理の厳格化も進んでいる。

前回(week42)のまとめはこちらから確認できる。

漁業・養殖:秋サケ・サンマが記録的不漁、陸上養殖の広がりも

北海道・日高・胆振地方の秋サケ漁獲量は、9月末時点で前年の3〜5割程度にとどまり、定置網漁でも同様の低迷が報じられた。来遊する4年魚の減少が要因とみられ、漁業者からは「燃料費を賄えない」との声も上がっている(情報元:北海道新聞デジタル)。新潟・村上市の三面川では、2025年が例年の最盛期の3%以下という歴史的不漁だったことを受け、巻き返しを期して鮭漁が解禁された。同地は世界で初めて鮭の自然ふ化増殖に成功した川としても知られ、伝統漁法「一括採捕」の仕組みは三面川の鮭漁「一括採捕」とは?世界初の増殖技術と伝統漁法で詳しく解説している。

サンマも厳しい状況が続く。水揚げ日本一を誇る根室・花咲港では、1日の水揚げ量が記録的不漁だった2025年の1割程度にとどまる日もあり、2026年の来遊量自体が2025年の半分程度と報じられた。この低水準は少なくとも11月下旬まで続く可能性があるという(情報元:UHB北海道文化放送)。サンマ不漁の構造的な背景はさんまが不漁な理由を徹底解説——漁獲量激減の原因・現状・今後の見通しにまとめている。マイワシについても、海水温上昇や外国船の影響だけでなく自国の漁獲管理のあり方を問う論考が出ており、不漁の要因を単純化せずに捉える視点が広がりつつある(情報元:Infoseek)。

陸上養殖の広がりを示す動きも相次いだ。高知県では日タイ外交関係樹立140周年を前に、タイの食卓を支えるティラピアの陸上養殖が始まる見通しだ(情報元:JAPAN Forward)。秋田県男鹿市では「とる漁業」から「育てる漁業」への転換として、高級食材であるクルマエビの陸上養殖に挑戦する動きが報じられた(情報元:FNNプライムオンライン)。神奈川県三浦市の城ヶ島でも、地域連携による陸上養殖の新モデルが始動している(情報元:タウンニュース)。陸上養殖全体の仕組みとコストは陸上養殖のメリット・デメリット|仕組み・費用・将来性を徹底解説、エビ養殖の現状はエビ養殖は日本でどこまで進む?自給率8%の現状を解説で解説している。

人材面では、水産大学校の漁業練習船「耕洋丸」が4年生を乗せて69日間の遠洋航海に出航した(情報元:山口新聞電子版)。函館では漁業の担い手確保に向けた仕事相談会が開かれ、岩手・宮古市では水産高校の生徒がハワイ沖のマグロはえ縄漁実習に出発するなど、若い世代を水産業につなぐ取り組みが各地で続いている(情報元:NHKニュース、Yahoo!ニュース)。水産大学校の詳細は水産大学校とは?5学科の特徴と就職率99%の秘密を徹底解説【2026年最新】で紹介している。

水産加工・流通:煮干し原料の不足が続く長崎、能登では販路拡大協議会が発足

長崎県では、祭りに欠かせないカタクチイワシの不漁により煮干し・いりこの原料不足が続いている。マイワシは豊漁である一方、同じイワシ類でもカタクチイワシは資源状況が異なり、地域によって明暗が分かれている(情報元:朝日新聞)。不漁の背景と価格への影響はカタクチイワシはなぜ不漁?煮干し・いりこが値上がりする理由で詳しく解説している。

能登半島地震からの復興が進む石川県では、漁業者と小売・飲食店をつなぐ協議会が立ち上げられ、能登の水産品の販路拡大に向けたマッチングが始まった(情報元:日本経済新聞)。持続可能な水産物の普及に向けた動きも相次いだ。MSC(海洋管理協議会)は「適切に管理された漁業の価値は約2倍になる」とする分析モデルを発表し、東アジアの水産業のサステナビリティ推進を目的とした新たな国際ネットワークも5組織共同で発足している(情報元:毎日新聞、PR TIMES)。

行政・法改正:ズワイガニ漁獲枠27%減、長良川鵜飼漁は規則改正へ

日本海のズワイガニ漁獲枠(TAC)について、2026年度の鳥取県への配分は前年度比27%減の754トンとなった。日本海ベニズワイガニ等委員会が全国的な漁獲枠を約19%縮小する方針を決めたことを受けた措置で、資源状況の悪化を踏まえ鳥取県の削減率は全国平均を上回った(情報元:朝日新聞)。背景にある資源管理の考え方はズワイガニ漁獲枠2026年度、鳥取県は27%減の754トン|資源保護で縮小の背景を解説で解説している。

岐阜県では、長良川の鵜飼漁について漁期を41日間拡大する規則改正案が知事に答申された。伝統漁法の継承と観光活用の両立を図る狙いとみられる(情報元:岐阜新聞デジタル)。

市場・価格動向:イクラ急騰の懸念、シシャモの初日価格は1キロ2000円前後

北海道の秋サケ不漁を受け、イクラの価格は200gで2万円近くに迫る可能性があると報じられた。海水温上昇による漁獲減が水揚げ現場だけでなく、流通・消費の価格にも波及しつつある(情報元:TBS NEWS DIG)。深刻な不漁に見舞われた新潟・村上市では、サケの代替として地元産のサクラマスを「サケの代わり以上に」と位置づけ、新たな商品化を進める動きも出てきた(情報元:FNNプライムオンライン)。

北海道・白糠町ではシシャモ漁が始まり、初日は1.9トンの水揚げで1キロあたり1930〜2170円の値がついた(情報元:北海道新聞デジタル)。サケ・サンマに比べ水揚げ量は確保できているが、今後の資源状況次第で価格が変動する可能性もある。

今週の主要ニュース一覧

日付 カテゴリ トピック 注目度
10/19 漁業・養殖 水産大学校の練習船「耕洋丸」が69日間の遠洋航海へ出航 中
10/20 水産加工・流通 長崎のカタクチイワシ不漁で煮干し原料がピンチ 中
10/21 漁業・養殖 高知でティラピアの陸上養殖へ、日タイ外交140周年前に 中
10/21〜22 漁業・養殖 秋サケ漁獲量が日高・胆振で前年の3〜5割、イクラ急騰の懸念 高
10/22 漁業・養殖 新潟・村上市の三面川で鮭漁解禁、歴史的不漁からの回復目指す 高
10/23 行政・法改正 ズワイガニ漁獲枠、鳥取県は前年度比27%減の754トン 高
10/23 漁業・養殖 秋田・男鹿市でクルマエビの陸上養殖に挑戦 中
10/24 漁業・養殖 根室・花咲港のサンマ水揚げ低調、11月下旬まで低水準か 高

今週のまとめと来週の注目点

今週は、秋サケ・サンマという秋の代表魚種が相次いで記録的不漁に見舞われ、海水温上昇という構造的な課題の深刻さが改めて浮き彫りになった一週間だった。イクラの価格急騰懸念は、不漁が水揚げ現場だけでなく消費者の食卓にも直結することを示している。一方で、高知・秋田・城ヶ島での陸上養殖の広がりや、村上市でのサクラマスへの商品転換の動きは、不漁下でも新たな選択肢を模索する業界の姿勢を示すものといえる。

来週の注目点は次の通りだ。

  • 秋サケ・サンマの水揚げが11月に入ってどこまで回復、あるいは低迷が続くか
  • イクラをはじめとした鮭関連商材の価格動向
  • ズワイガニの漁期開始(11月6日)後の実際の水揚げ・取引価格

資源減少という長期課題に、価格転嫁・養殖転換・資源管理強化という複数の対応がどう組み合わされていくか、業界の動きを引き続き追っていく。

参考記事


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