海苔の種付けとは?台風が与える影響を佐賀の例で解説

海苔の種付けとは?台風が与える影響を佐賀の例で解説 養殖

最終更新: 2026-10-27

海苔の種付け(採苗)とは、海苔の胞子を網に付着させる作業のことで、例年9〜10月ごろの大潮のタイミングで行われる。この工程は海水の塩分濃度にデリケートで、大雨で塩分濃度が下がると胞子が網にうまく付着しない恐れがある。2026年10月は台風30号の接近に伴う大雨で、佐賀県の有明海沿岸で種付けが当初予定から28日に延期された。十数年ぶりという、種付け時期に台風が接近した事例から、種付けの仕組みと気象リスクを整理する。

海苔の種付け(採苗)とは?仕組みを解説

2026 10 27 nori tanetsuke taifu guide h2 00

海苔の養殖は、種付けから収穫・共販までおよそ1年かけて行われる。種付けの工程には大きく2つの方法がある。

方法 内容
陸上採苗(水車採苗) 大きな水槽にカキ殻に付着させた海苔の糸状体を入れ、その上で網を水車のように回転させて胞子を付着させる
海上採苗(網張り) 種付けした網を30枚ほど重ねて海に固定し、支柱で風や波に流されないようにする

網を張った後は、漁業者が毎日海に出て網の一部を採取し、顕微鏡で胞子の付着状況を確認しながら生育を見守る。この記事で取り上げる佐賀県有明海沿岸の種付けも、この工程にあたる。

なぜ台風が種付けに影響するのか:塩分濃度との関係

2026 10 27 nori tanetsuke taifu guide h2 01

海苔の胞子は、一定の塩分濃度の海水でないと網にうまく付着しない。台風や大雨で河川から大量の淡水が海に流れ込むと、海水の塩分濃度(比重)が下がり、「種が網につかない」「種が出ない」といった不具合が起きやすくなる(サガテレビ、確認日2026年10月27日)。種付けは漁業者が海に出て行う作業でもあるため、大雨や強風そのものが作業の支障になる点も課題だ。

2026年、佐賀県で種付けが延期になった経緯

2026 10 27 nori tanetsuke taifu guide h2 02

佐賀県の伊万里・唐津地域では、2026年10月に接近した台風30号の影響で24時間降水量が観測史上最大を記録した。伊万里では24時間で160.5ミリ、最大累積降水量は243ミリに達し、唐津でも24時間で105ミリを観測した。いずれも10月の観測史上最大の値だった(サガテレビ、確認日2026年10月27日)。

地点 24時間降水量 備考
伊万里 160.5ミリ(最大累積243ミリ) 10月の観測史上最大
唐津 105ミリ 10月の観測史上最大

この大雨の影響で、海苔の種付けは当初の予定から28日に延期された。種付け作業に従事する漁業者の竹下幸佑さんは「種付け直前というのは作業が難航しているというか、大変。海に出られないので」と述べ、塩分濃度の低下についても「あまり下がりすぎると種が出ないとか、種が網につかないということがあったりそこがちょっと心配」と懸念を語っている(サガテレビ、確認日2026年10月27日)。現地の漁業者によれば、種付け時期に台風が接近するのは十数年ぶりだという(サガテレビ、確認日2026年10月27日)。

台風は10月25日夜には温帯低気圧に変わったが、伊万里・唐津では大雨による土砂災害への警戒も必要な状況が続いた(サガテレビ、確認日2026年10月27日)。

佐賀県の海苔生産規模:全国の4分の1を占める産地

2026 10 27 nori tanetsuke taifu guide h2 03

佐賀県が面する有明海は、全国有数の海苔産地だ。農林水産省 海面漁業生産統計調査(令和3年確報)によると、佐賀県の板のり生産量(暦年)は約15億1800万枚で、全国の板のり生産量(約61億9千万枚)のおよそ4分の1を占める。種付けの遅れが生育や収穫にどう影響するかは今後の天候にも左右されるため、今回延期になった分の挽回は現時点では未確定だが、全国シェアの大きな産地だけに、種付けの出来は産地全体の供給に関わってくる。

海苔養殖全体の仕組みや産地ランキング、近年の高値の背景については海苔養殖の仕組みと産地ランキングで詳しく解説している。水産業界全体の統計データは水産業界データハブでも確認できる。

海苔の種付けに関するよくある質問

Q1: 種付けが延期されると、海苔の収穫や値段に影響するのか

種付けそのものが数日延期された程度であれば、収穫時期への影響は限定的とみられるが、今回のように大雨で海水の塩分濃度が下がった状態が続けば、胞子の付着率に影響する可能性がある。2026年10月時点では、佐賀県の漁業者が塩分濃度の低下を懸念している段階で、実際の生育・収穫への影響は今後の天候次第であり未確定だ(サガテレビ、確認日2026年10月27日)。

Q2: 種付け時期に台風が来るのは珍しいことなのか

佐賀県有明海沿岸の漁業者によれば、種付け時期に台風が接近するのは十数年ぶりだという。例年この時期は台風シーズンの終盤にあたるが、2026年は接近・大雨が重なる珍しい年になった(サガテレビ、確認日2026年10月27日)。

まとめ:海苔の種付けと台風リスクのポイント

  • 海苔の種付け(採苗)は、海苔の胞子を網に付着させる工程で、例年9〜10月の大潮のタイミングで行われる
  • 海水の塩分濃度が下がると胞子が網にうまく付着しないため、大雨・台風は種付けの大敵になる
  • 2026年10月、台風30号による大雨で佐賀県伊万里・唐津地域の種付けが28日に延期。十数年ぶりの事態という
  • 佐賀県は全国の板のり生産量の約4分の1を占める産地(農林水産省統計、令和3年確報)で、種付けの出来は産地全体の供給に関わる

海苔の産地や経営動向について詳しく知りたい方は、海苔養殖の仕組みと産地ランキングも参考にしてほしい。

参考情報



コメント

タイトルとURLをコピーしました