カタクチイワシはなぜ不漁?煮干し・いりこが値上がりする理由

カタクチイワシはなぜ不漁?煮干し・いりこが値上がりする理由 水産加工

最終更新: 2026-10-21

2026年10月20日、朝日新聞は長崎県で煮干しの原料となるカタクチイワシの不漁が続いていると報じた。同じイワシ類でもマイワシは豊漁な年がある一方、カタクチイワシだけが記録的な不漁に陥っている地域があるという内容だ。

実際、煮干し・いりこを扱う業者のあいだでは2022年ごろから「カタクチイワシが獲れない」という声が広がり、価格は右肩上がりを続けている。本記事では、流通業者の公表情報と価格データ、水産研究機関の研究結果をもとに、カタクチイワシ不漁の実態と原因を整理する。

煮干し原料カタクチイワシの不漁はいつから続いているのか

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煮干し・だし用いりこの卸・通販を手がける業者の公表情報によると、カタクチイワシの不漁は2022年ごろから顕著になり、2023年・2024年も「大貧漁」が続いたとされる。2026年8月27日時点の情報では、長崎・牛深(熊本県天草市)の両産地でカタクチイワシがほとんど生産できておらず、長崎産は小ぶりのものがごく少量、非常に高い値段で取引されているという。

一方で、同じカタクチイワシでも瀬戸内産は比較的供給が安定しているとされ、産地によって漁模様に差があることが分かる。不漁の産地に需要が集中することで、相場全体が競り値で平常の2倍前後まで上昇する動きも出ている。

朝日新聞が報じた2026年10月の長崎県の状況も、こうした数年来の不漁傾向が続いている結果といえる。

煮干しの価格はどれだけ上がったのか

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民間の物価調査データによると、煮干し100gあたりの平均価格は次のように推移している。

年 煮干し100gの平均価格
2019年 217円
2020年 225円
2021年 227円
2022年 228円
2023年 258円
2024年 339円
2025年 359円
2026年 360円(2026年6月には364円で過去最高値)

2019年から2026年にかけて価格はおよそ65%上昇し、新型コロナウイルス流行前(コロナ禍前)と比較すると平均で168%の上昇幅になるという。2022年から2023年にかけての上昇は緩やかだったが、2023年から2024年にかけて急激に跳ね上がっており、不漁の深刻化と時期が重なっている。

カタクチイワシの不漁、原因は何か

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カタクチイワシの不漁の原因については、瀬戸内海系群を対象に水産研究・教育機構、香川県、愛媛大学、広島大学の共同研究チームが2022年11月に調査結果を公表している。

研究チームが特定した要因は、次のような連鎖だ。

1. 瀬戸内海の栄養塩濃度の低下(貧栄養化)と高水温化が進んだ

2. これにより、カタクチイワシの主要な餌となる動物プランクトン(カイアシ類)が顕著に減少した

3. 餌不足で親魚(産卵する成魚)が痩せ、質の低い卵を産むようになった

4. 痩せた親から生まれた仔魚は成長率が低く、生き残りが悪化した

この複合的な要因が、2000年代以降のシラス・カエリ(カタクチイワシの幼魚)の漁獲量減少につながったと分析されている。

なお、この研究は瀬戸内海系群を対象にしたものであり、長崎県など日本海・東シナ海側で起きている不漁と全く同じ要因かどうかは別途の検証が必要だ。カタクチイワシは系群(資源として管理される地域集団)ごとに資源状況が異なり、瀬戸内産が比較的安定している一方で長崎・牛深などの産地が記録的な不漁に陥っているという地域差も、系群ごとの資源変動の大きさを示している。

消費者・業界への影響

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煮干し・いりこへの影響

だし文化に欠かせない煮干し・いりこは、カタクチイワシを原料とする代表的な加工品だ。原料の不漁が続くことで、スーパーや専門店の煮干し製品の価格は上昇を続けており、一部の業者は値上げの通知を繰り返し出している。カタクチイワシが特に不足する時期には、焼きあごなど代替となる乾物も値上がりする動きがある。

煮干しそのものの作り方や品質管理については「煮干しの作り方|釜茹でから乾燥までの手順とコツ」で詳しく解説している。

他の水産加工品との違い

水産加工品は原料魚種の漁獲状況に価格が直結しやすい点が共通する。水産加工品全体の種類や産地については「水産加工品の種類9分類|干物・練り物・缶詰と産地マップ」も参考にしてほしい。

マイワシとの違いに注意

朝日新聞の報道が示すとおり、マイワシ(真鰊)とカタクチイワシは別の魚で、資源状況も別々に変動する。マイワシは年によって豊漁が報じられることもあり、「イワシ」と総称されるために両者が混同されやすい。マイワシの旬や特徴については「マイワシの旬はいつ?入梅いわしから産地・栄養・食べ方まで完全ガイド」で解説している。

よくある質問(FAQ)

Q1. カタクチイワシの不漁はいつから続いていますか?

煮干し・いりこを扱う業者の公表情報によると、2022年ごろから不漁が顕著になり、2023年・2024年も「大貧漁」が続いています。2026年8月時点でも、長崎・牛深(熊本県天草市)では生産がほとんどない状態が続いています。

Q2. 煮干しの値段はどれくらい上がりましたか?

民間の物価調査データによると、煮干し100gの平均価格は2019年の217円から2026年の360円まで上昇しており、約65%の値上がりです。コロナ禍前と比較すると平均で168%の上昇幅になるとされています。

Q3. 不漁の原因は何ですか?

瀬戸内海系群を対象にした水産研究・教育機構などの共同研究(2022年11月公表)では、海域の貧栄養化・高水温化によって餌となる動物プランクトンが減少し、親魚の栄養状態の悪化と仔魚の生存率低下につながる連鎖が特定されています。ただしカタクチイワシは系群ごとに資源状況が異なり、産地による不漁の深刻度には差があります。

Q4. 全国どこでも不漁なのですか?

いいえ、産地によって差があります。長崎や熊本県天草市の牛深などでは記録的な不漁が続く一方、瀬戸内産は比較的供給が安定しているとされています。カタクチイワシは系群ごとに資源が管理されており、地域差が大きい魚種です。

Q5. 煮干し以外にも影響はありますか?

焼きあごなど、カタクチイワシの代替として使われる乾物の相場にも影響が及ぶことがあります。原料不足が続く局面では、だし用乾物全体の価格動向にも注意が必要です。

まとめ

  • 煮干し・いりこの原料カタクチイワシは2022年ごろから不漁が続き、2023・2024年も「大貧漁」
  • 2026年8月時点で長崎・牛深では生産がほとんどなく、瀬戸内産は比較的安定というように産地差が大きい
  • 煮干し100gの平均価格は2019年の217円から2026年の360円まで上昇(約65%増)
  • 原因として、瀬戸内海系群では貧栄養化・高水温化によるプランクトン減少から親魚の栄養不良・仔魚の生存率低下という連鎖が研究で特定されている
  • マイワシとカタクチイワシは別の魚で、資源状況も別に動いている点に注意

煮干しの選び方・使い方や、他の水産加工品の知識についても関連記事を参考にしてほしい。

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参考情報

出典確認日: 2026年10月21日




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