最終更新: 2026-10-21
「マグロの旬はいつですか」と聞かれて即答できる人は少ない。スーパーには一年中マグロが並んでいるうえ、「マグロ」とひとくくりに呼ばれる魚には複数の種類があり、種類ごとに旬の時期が違うからだ。
結論から言うと、代表的な3種類の旬は次のようになる。
- クロマグロ(本マグロ):冬(12月〜1月ごろ)が目安。ただし漁場によって秋〜冬に幅がある
- メバチマグロ:秋が目安
- キハダマグロ:春〜夏が目安
本記事では、マグロの種類ごとの旬の違い、産地による漁の特徴、栄養成分、選び方までを整理して解説する。
マグロの種類ごとに旬が違う理由

「マグロ」はスズキ目サバ科マグロ属に属する魚の総称で、国内で主に流通するのはクロマグロ(本マグロ)、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンナガマグロの5種類だ。種類によって回遊海域や産卵期が異なるため、脂の乗りが良くなる時期、つまり「旬」もそれぞれ異なる。
クロマグロ(本マグロ)
最も大きく成長し、体長3m・体重400kg以上に達する個体もいる。身は鮮やかな赤身で、大トロの部位を多く含む点が特徴だ。日本近海を回遊する個体は、水温が下がる冬(12月〜1月ごろ)に脂が最も乗るとされる。一方、青森県大間町周辺では一本釣り漁期が7月下旬から1月ごろまで続き、水温が下がり始める秋から冬にかけて大型で脂の乗った個体が揚がりやすいとされる。回遊魚であるため、年によって漁の時期や漁獲量に幅があることも特徴だ。
メバチマグロ
大きな目が名前の由来で、キハダよりも丸みを帯びた体型をしている。赤身の色が鮮やかで旨みが強く、クロマグロに比べると脂は少ないがさっぱりとした味わいが持ち味だ。日本近海で獲れるものは秋が旬の目安とされる。
キハダマグロ
黄味がかった体色と、黄色い腹ビレ・背ビレが特徴。体型はスリムで、メバチより脂が少なく淡泊な味わいだ。春から夏にかけてが旬の目安とされる。
旬の時期の比較
| 種類 | 旬の目安 | 脂の特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| クロマグロ(本マグロ) | 冬(12〜1月ごろ)、大間などは秋〜冬 | 大トロを含み脂が濃厚 | 刺身・寿司(高級) |
| メバチマグロ | 秋 | 赤身中心でやや脂は少ない | 刺身・寿司(スーパー・回転寿司でも定番) |
| キハダマグロ | 春〜夏 | 脂が少なく淡泊 | 刺身・たたき・ツナ加工 |
一年中スーパーでマグロを見かけるのは、種類や産地(国内・海外)を組み合わせることで年間供給が成り立っているためだ。狙った種類の旬を知っておくと、脂の乗りが良い時期を選びやすくなる。
産地で異なる「獲り方」の違い

マグロの産地は、同じ種類でも漁法によって個性が異なる。ここでは代表的な3つの産地を漁法の違いで比較する。
青森県大間町――天然クロマグロの一本釣り
津軽海峡に面する大間町は、天然クロマグロの一本釣り産地として知られる。地元の観光案内によると、大間のクロマグロ一本釣り漁期は7月下旬から1月ごろとされ、昼間は一本釣り、夜間は延縄漁で漁が行われる。水温が下がる秋から冬にかけて、大型で脂の乗った個体が水揚げされやすいとされる。
宮城県気仙沼――遠洋まぐろはえ縄船団の基地港
気仙沼港は遠洋まぐろはえ縄漁船の船籍港が多く集まる、国内有数のマグロ基地港だ。太平洋・大西洋・インド洋まで遠洋に出てメバチマグロ・キハダマグロ・ビンナガマグロなどを漁獲し、冷凍のまま持ち帰って水揚げする。気仙沼市魚市場の公表データによると、令和7年のマグロ類全体の水揚げ量は約11,005トンにのぼる。大間の一本釣りが「天然・近海・生」であるのに対し、気仙沼は「遠洋・冷凍・加工」という対照的な産地の姿を見せている。
愛媛県宇和島――養殖本マグロ「だてまぐろ」
宇和島市沖の日振島周辺では、東シナ海で採捕した幼魚を育てる養殖クロマグロ「だてまぐろ」が生産されている。天然資源に依存しない養殖は、クロマグロの安定供給という点で天然一本釣りとは異なる役割を担っている。養殖マグロの技術については「マグロ養殖技術とは?完全養殖の仕組みと主要産地を解説」で詳しく解説している。
天然クロマグロの資源管理(漁獲枠の規制)については「水産庁のマグロ漁獲規制とは?仕組みと影響を解説」も参考になる。マグロ漁師の仕事内容や収入については「マグロ漁師の仕事とは?」「マグロ漁師の年収はいくら?」で解説しているので、キャリアに関心がある方はあわせて参照してほしい。
マグロの栄養成分――赤身とトロで大きく異なる

文部科学省「食品成分データベース」によると、クロマグロ(天然)の赤身と脂身(トロ)では、栄養成分に大きな差がある。
| 栄養成分(可食部100gあたり) | クロマグロ・赤身(生) | クロマグロ・脂身(生) |
|---|---|---|
| エネルギー | 115kcal | 308kcal |
| たんぱく質 | 26.4g | 20.1g |
| 脂質 | 1.4g | 27.5g |
赤身は低脂質・高たんぱくで、脂身(トロ)はエネルギー・脂質がその20倍前後に跳ね上がる。赤身は筋肉や体づくりに役立つたんぱく質を効率よく摂りたい人に向き、トロは脂に溶け込んだ旨みとDHA・EPAなどの魚油を楽しみたい人に向く。どちらを選ぶかは、味の好みと栄養バランスの両面から決めるとよい。
旬のマグロを選ぶコツ

刺身・ブロックを選ぶときのポイント
色合い:赤身は鮮やかな赤〜赤褐色、トロは白い脂の筋が霜降り状に入っているものが新鮮。赤身が茶褐色に変色しているものは鮮度が落ちている可能性がある。
ドリップ(汁気):パック内に赤い汁(ドリップ)が多く出ているものは、解凍・保存の過程で旨みが流出している可能性がある。ドリップが少ないものを選ぶ。
筋目:繊維状の筋目がはっきりしているものは身が締まっている証拠。筋目がぼやけているものは身が緩んでいることがある。
天然と養殖、生と冷凍の違い
天然クロマグロは漁獲量が限られ資源管理(漁獲枠)の対象でもあるため、価格が高くなりやすい。養殖クロマグロは年間を通じて安定した品質・価格で供給される。冷凍マグロは船上や港で急速冷凍されたもので、適切に解凍すれば生鮮と遜色ない味わいを楽しめる。用途や予算に応じて選び分けるとよい。
よくある質問(FAQ)
Q1. マグロに「旬」があるのに、一年中スーパーに並んでいるのはなぜですか?
マグロには複数の種類があり、それぞれ旬の時期が異なること、また国内産地と海外産地(地中海・大西洋など)を組み合わせて漁獲・輸入していることで、年間を通じた供給が成り立っています。狙った種類の旬の時期を知っておくと、脂の乗りが良いものを選びやすくなります。
Q2. 本マグロとクロマグロは同じ魚ですか?
はい、同じ魚です。「クロマグロ」が正式な分類名で、「本マグロ」は市場や鮮魚店での通称です。最も高級とされるマグロの代表種です。
Q3. 天然マグロと養殖マグロはどちらがおいしいですか?
一概にどちらが優れているとは言えません。天然は漁場や個体差で味が変動しやすく、旬の時期に当たれば非常に脂が乗ります。養殖は脂の乗りや品質が年間を通じて安定している点が特徴です。好みや用途に応じて選ぶのがよいでしょう。
Q4. 冷凍マグロと生マグロ、どちらを選ぶべきですか?
遠洋漁業で獲れるマグロの多くは船上で急速冷凍されており、適切に解凍すれば生鮮と遜色のない味わいが楽しめます。一方、近海で獲れたものをその日のうちに流通させる「生マグロ」は、鮮度の良さが評価されやすい傾向があります。価格や用途に応じて選び分けるとよいでしょう。
まとめ
マグロの旬を理解するポイントをまとめると、次の通りだ。
- マグロは種類によって旬が異なり、クロマグロ(本マグロ)は冬、メバチマグロは秋、キハダマグロは春〜夏が目安
- 大間(天然一本釣り)、気仙沼(遠洋はえ縄・冷凍)、宇和島(養殖)など、産地によって漁法・供給の役割が異なる
- 栄養面では赤身が低脂質・高たんぱく、脂身(トロ)は脂質・エネルギーが大きく増える
- 選ぶときは色合い・ドリップの少なさ・筋目の締まりを確認する
マグロ漁師の仕事やマグロ養殖技術、資源管理の仕組みに関心がある方は、関連記事もあわせて参考にしてほしい。
関連記事
参考情報
- 文部科学省「食品成分データベース」くろまぐろ・天然・赤身・生(確認日: 2026-10-21)
- 文部科学省「食品成分データベース」くろまぐろ・天然・脂身・生(確認日: 2026-10-21)
- 東北経済産業局「大間まぐろ」紹介ページ(確認日: 2026-10-21、漁期・漁法の確認に使用)
- 下北観光公式サイト「大間漁業協同組合 マグロ一本釣り漁師」(確認日: 2026-10-21)
- 気仙沼市魚市場「水揚高」(確認日: 2026-10-21、令和7年マグロ類水揚げ量の確認に使用)
- 気仙沼市魚市場「水揚げする漁船」(確認日: 2026-10-21、遠洋まぐろはえ縄船団の基地港であることの確認に使用)
- 4toco「世界一のマグロを目指して!愛媛・日振島のマグロ養殖」(確認日: 2026-10-21、宇和島「だてまぐろ」の確認に使用)
出典確認日: 2026年10月21日


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