最終更新: 2026-09-20
居酒屋の定番「ホッケの開き」。しかし近年、「昔より身が小さくなった」「値段が上がった」と感じる人は多いのではないでしょうか。実際、ホッケは日本近海で資源量が大きく変動してきた魚のひとつであり、家庭でよく食べる開き干しの多くが実は輸入品であるという事実も、あまり知られていません。
本記事では、ホッケの本当の旬、国産の「マホッケ」と輸入の「シマホッケ」の違い、資源減少の背景を一次情報に基づいて解説します。
ホッケとは?基本情報

ホッケ(魚偏に花=𩸽)はアイナメ科ホッケ属の魚で、北日本の日本海・オホーツク海・太平洋沿岸に広く分布します。成長すると体長40〜60cmに達し、成魚は深場に移動する「根つき」の性質を持つことで知られます。
日本でホッケとして流通する魚には、実は2つの種が混在しています。
| 項目 | ホッケ(マホッケ) | キタノホッケ(シマホッケ) |
|---|---|---|
| 主な産地 | 北海道近海(国産) | ロシア(オホーツク海)からの輸入が中心 |
| 見た目の特徴 | 体側の縞模様が薄い | 体側にはっきりした縞模様がある |
| 脂の乗り | 適度で上品な味わい | 脂が多く、焼くとジューシー |
| 主な流通形態 | 生鮮・干物 | 主に開き干し(冷凍) |
北海道以外のスーパーで売られているホッケの開きは、実はロシア産の「キタノホッケ(シマホッケ)」であることが多い。国産の「マホッケ」は脂の乗りが上品で、あっさりとした味わいが特徴とされる一方、輸入のシマホッケは脂が多くジューシーな仕上がりになるため好みが分かれる。「いつも食べているホッケの開きは輸入品だった」と知って驚く人も少なくない。
ホッケの旬はいつ?

生ホッケの旬は春〜初夏
ホッケは春から初夏(5〜7月)にかけてエサをよく食べて丸々と太る。この時期の生ホッケは脂が乗り、刺身や塩焼きに向くとされている。ただし産地によって最盛期にはズレがあり、北海道礼文では7〜8月、積丹では4〜5月が旬とされるなど、水温や漁場条件によって数週間〜数ヶ月の差が出る。
開き干し向けは秋の接岸期も旬
ホッケは産卵のために秋(10〜11月頃)に沿岸へ寄ってくる性質があり、この時期にも多く漁獲される。産卵前で脂肪を蓄えた個体が多いため、干物向けにはこの秋の漁獲もよく使われる。
つまりホッケには「春〜初夏の成長期」「秋の産卵接岸期」という2つの漁獲の山があり、どちらの時期のものが出回るかは産地や年によって変わる。パッケージや鮮魚店で水揚げ時期を確認すると、より脂の乗った個体を選びやすい。
ホッケが「獲れなくなった」と言われる理由
漁獲量の推移
ホッケの漁獲量は資源変動の大きい魚として知られている。水産研究・教育機構の資源評価によると、道北系群(道北日本海〜オホーツク海沿岸に分布する系群)の資源量は1985年から1995年にかけて8.9万トンから44.2万トンへ増加し、2008年ごろまでは24.9万〜43.7万トン程度で推移していた(2020年時点の評価)。
しかしその後は減少傾向に転じ、2013年以降は10万トンを下回り、2016年には4.1万トンまで落ち込んだ。2018〜2020年にかけては8.7万〜9.5万トン程度まで一定の回復が見られたものの、1990年代のピーク時と比べると資源量は大幅に少ない水準にある(水産研究・教育機構「令和2年度ホッケ道北系群の資源評価」)。
全国の漁獲量で見ても、2000〜2009年は年9.6万〜15.1万トン程度で推移していたが、2010年以降に急減し、2015年には1.6万トンまで落ち込んだ。その後は緩やかな増加が見られ、2023年は約2.7万トンとなっている。いずれにせよ、かつての水準からは大きく減少した状態が続いている。
資源減少の背景
水産研究・教育機構やその他の研究機関の指摘によると、ホッケの資源減少には複数の要因が関わっているとされる。
- 磯焼けによる藻場の減少:ホッケの幼魚期の生育環境である藻場(海藻群落)が、ウニの増加や水温変化などにより減少している地域がある
- トド・オットセイなどの海獣による捕食被害:北海道沿岸では海獣類の個体数増加に伴い、漁獲対象魚への捕食被害が拡大しているとの指摘がある
- 個別漁獲量管理の難しさ:漁船・漁業者ごとの漁獲枠(IQ/ITQ)が明確に設定されていない漁業形態では、資源が減少している局面でも早獲り競争が起きやすく、資源管理が難しくなるという課題が指摘されている
これらの要因が重なり、ホッケは「獲れる年と獲れない年の差が大きい魚」になっている。近年の身の小型化についても、資源量の減少や成長環境の変化が影響していると考えられている。
ホッケの栄養と美味しい食べ方
栄養価
文部科学省の食品成分データベース(日本食品標準成分表2020年版・八訂)によると、ホッケ(生)は他の白身魚に比べて脂質が多く、DHA・EPAなどの不飽和脂肪酸を豊富に含む魚とされている。良質な脂を含む一方でカロリーはやや高めのため、開き干しを食べる際は焼き加減で脂を適度に落とすと食べやすい。
代表的な食べ方
| 料理名 | 特徴 | おすすめの時期 |
|---|---|---|
| 開き干し(塩焼き) | 定番の食べ方。脂が乗った身をシンプルに焼く | 秋(10〜11月頃) |
| 生ホッケの刺身・塩焼き | 脂が乗った個体を新鮮な状態で | 5〜7月(産地限定) |
| ちゃんちゃん焼き | 味噌だれで焼く北海道の郷土料理 | 年間 |
| フライ | 骨が少ない部位を使ったフライも人気 | 年間 |
開き干しを選ぶ際は、身が厚く、脂で身が白く濁っているものが良品とされる。国産のマホッケか輸入のシマホッケかは、パッケージの原産国表示で確認できる。
ホッケに関するよくある質問(FAQ)
Q1. ホッケの本当の旬はいつですか?
A. 生で食べるなら脂が乗る春〜初夏(5〜7月)、開き干しで食べるなら産卵のため沿岸に接岸する秋(10〜11月頃)に獲れた脂肪の多い個体が向いている。産地・年によって最盛期は前後する。
Q2. スーパーのホッケの開きは国産ですか?
A. 北海道以外で売られているホッケの開きの多くは、ロシア産の「キタノホッケ(シマホッケ)」であることが多い。国産の「マホッケ」はあっさりとした味わいで、輸入のシマホッケは脂が多くジューシーな傾向がある。原産国はパッケージ表示で確認できる。
Q3. ホッケが本当に減っているのですか?
A. 水産研究・教育機構の資源評価では、道北系群の資源量が1990年代のピーク時(30万〜40万トン規模)から大幅に減少し、2016年には4.1万トンまで落ち込んだ時期があると報告されている。その後一定の回復傾向はあるものの、ピーク時の水準には戻っていない(2020年時点の評価)。
Q4. マホッケとシマホッケ、味の違いは?
A. 国産のマホッケは脂の乗りが適度で上品な味わい、輸入のシマホッケは脂が多くジューシーな仕上がりになる傾向がある。どちらが美味しいかは好みによる。
Q5. ホッケの資源が減った原因は何ですか?
A. 磯焼けによる藻場(幼魚の生育環境)の減少、トド・オットセイなどの海獣による捕食被害の拡大、漁船ごとの漁獲枠管理の難しさによる早獲り競争など、複数の要因が指摘されている。単一の原因ではなく複合的な問題とされている。
関連記事: フグの旬はいつ?産地・種類・栄養・安全な食べ方を完全解説【トラフグ】
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まとめ:ホッケには2つの旬と2つの顔がある
ホッケについてのポイントを整理する。
- 生食向けの旬は春〜初夏(5〜7月)、開き干し向けは秋の接岸期(10〜11月頃)
- スーパーの開き干しの多くはロシア産のシマホッケ(輸入品)で、国産のマホッケとは味わいが異なる
- 資源量は1990年代のピーク時から大幅に減少し、近年は一定の回復傾向にあるが、かつての水準には届いていない
- 資源減少の背景には藻場の減少・海獣被害・漁獲管理の難しさなど複数の要因がある
「いつものホッケの開き」を食べるときに、産地や種類を意識してみると、身近な魚の見え方が変わるかもしれない。
水産業界の統計データについては水産ナビ 水産業界データハブ、他の不漁が話題になっている魚についてはさんまが不漁な理由を徹底解説もあわせてご覧ください。
参考情報
- 資源評価データ(道北系群、1985〜2020年)(確認日2026年9月):水産研究・教育機構「令和2(2020)年度ホッケ道北系群の資源評価」(PDF)、水産庁「ホッケ(道北系群)」資源評価資料(PDF)
- 全国漁獲量の推移(2000〜2023年)(確認日2026年9月):「わが国周辺の水産資源の現状と見通し〜増える魚、減る魚〜」講演録|東京水産振興会
- 資源減少要因(漁獲管理の課題)(確認日2026年9月):ホッケが小さくなった3つの理由|Wedge ONLINE
- マホッケ・シマホッケ(キタノホッケ)の違い(確認日2026年9月):「真ほっけ」と「縞ほっけ」の違いは?|PREZO、真ほっけと縞ほっけの違いは何ですか?|八面六臂
- 産地別の旬の時期差(確認日2026年9月):ホッケ/𩸽:旬の魚介百科
- 栄養価:文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表2020年版・八訂)
- 関連記事:さんまが不漁な理由を徹底解説、水産ナビ 水産業界データハブ


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